谷崎潤一郎 『痴人の愛』 [Gemini]
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谷崎潤一郎 『痴人の愛』
「いや」…
「ナオミちゃん、お前の顔はメリー・ピクフォ…
「内でそうしろと云うもんだから」…
「ナオミちゃん、まあちょっと此処へおかけ」…
「どうだね、ナオミちゃん、ほんとうにお前、…
「ナオミちゃん、もう起きたかい」…
「ナオミちゃん、毎日何をしていたんだい?」…
「だけどあたし、夏は田舎もいいと思うわ」…
「この着物はよく似合うね、誰に縫って貰った…
「ま、今年は二三日で我慢をしてお置き、来年…
「夜の八時に行水を使わせる。海水浴で日に焼…
「譲治さん、きっとあたしを捨てないでね」…
「ねえ、ナオミちゃん」…
「僕の可愛いナオミちゃん、僕はお前を愛して…
「巧いもんだね、とてもその真似は役者にだっ…
「立派」…
「遊び」…
「いいえ、そんなことはありません、あの児は…
「さ、これを英語に訳して御覧」…
「お前もなかなか強情だけど、僕にしたって一…
「ああ、あんまり云うと却ってお前が意地を突…
「勝負事では自分の方がずっと強者だ」…
「じゃあ、又」…
「それでお前は、ダンスをやるって云ったのか…
「今日はア」…
「No!」…
「やあ、入らっしゃい」…
「―――お初にお目に懸ります、わたくし、杉…
「あなた、失礼でございますけれど、ダンスの…
「譲治さんは思いの外熱心ね、直きイヤになる…
「是非行って見よう」…
「そう使っちゃ晦日が越せなくなるじゃないか…
「だってお前、今この金を出しちまったら、直…
「どうしたの? まだ怒ってるの?」…
「あの金で買って上げるよ、ね、いいだろう、…
「どうしたの、ナオミちゃん、お前はまるで気…
「僕は紺より茶の方がいいがな」…
「もうこんなところへ来るもんじゃない」…
「ネクタイが左へ曲っているわよ」…
「おい、ナオミちゃん、………」…
「顔だちだって、いい事なんかありゃしないわ…
「譲治さん、あの踊り方を知っている?」…
「約束がなけりゃあ、この次に己と踊ろうか?…
「僕は熊谷政太郎と云うもんです。―――自己…
「や、今度は七番のフォックス・トロットか、…
「ああ、暑、暑! どうだった、譲治さん、あ…
「あの西洋人は友達でも何でもないのよ、それ…
「綺羅子を呼んで来い」…
「まアちゃん、あんた猿は嫌い?」…
「ねえ、綺羅子さん、あなたそうお思いになら…
「あははは、お前のように云った日にゃあ、気…
「やあ、駄目ですよ駄目ですよ」…
「いや、そんなことはないでしょう。あなたが…
「ラ、ラ、ラララ」…
「悧巧な女は私でござい」…
「帰ろう帰ろう」…
「ね、こうしたらいいじゃないの。男の人が三…
「それに何だよ、僕ア女の人がいると、どうも…
「電気を消す?」…
「よう! 此方をお向きよ!」…
「譲治さん、あなたも此方を向いたらどう? …
「どう? 譲治さん、この光景は?」…
「呆れたなんて嘘なのよ。あたしにガウンを着…
「いや、そう云う訳じゃないけれど、………」…
「おい、河合々々、教えろよ、ほんとに!」…
「ふん、ふん、そいつあ頼もしいや!」…
「夜」…
「いつ帰ったの?………」…
「それにあたしは、譲治さんより外の男と二人…
「今日も独りで留守番かね?」…
「あの時分はこうだった」…
「譲治さん、あたしいくらかせいが伸びた?」…
「譲治さん、今年の夏は久振りで鎌倉へ行かな…
「ね、こんな旨い話はないからそうしましょう…
「や、これはいい、非常に気分がゆったりする…
「おや、まアちゃん、いつ来たの?」…
「今夜は非常に面白かったね、あの連中にとき…
「お嬢さんはあの、夕方一遍お帰りになって、…
「じゃあ何ですか、大勢一緒じゃないんですか…
「その別荘へはナオミはたびたび行くんでしょ…
「ちょっと! 靴ン中へ砂が這入っちゃって、…
「ヨイショ! ヨイショ!………ヨイショ! …
「おや」…
「若様」…
「じゃ何ですか、もうずっと前から、私の留守…
「でもまアちゃんが一番疑ぐられているんだも…
「え? 浜田君………君はいつから此処に居る…
「河合さん、どうか僕を赦すと云ってくれませ…
「君とナオミとは、一体いつからそう云う関係…
「浜田君、まあ何にしてもこんな所でしゃべっ…
「さあ、浜田君、君が正直に云ってくれたので…
「ええ、親戚でも何でもありません。僕は宇都…
「浜田君、僕は御忠告に従って、いずれ何とか…
「どうか浜田君、これから後も君だけは遊びに…
「やあ、只今」…
「ふむ、………」…
「浜田がそう云ってくれたので、僕はお前に聞…
「ナオミ」…
「え? お前は己が嫌いなのかよ? そうなら…
「ねえ、ナオミや」…
「小間使いには大へん都合のいいのがある、内…
「ははあ、此奴、為替の来たのが分ったんだな…
「あんなにお金が沢山あるのに、あたしに着物…
「畜生! 犬! 人非人! もう貴様には用は…
「あの、大森から来たんですが、ナオミは参っ…
「おかしいな、どうも、………荷物も沢山持っ…
「ああ、坊っちゃまでございますか、まだお休…
「ああ、ナオミさんが、―――矢っ張りそうだ…
「ああ、もし、もし、どうしたんですか、河合…
「ええ、分ることは分りましたが、………しか…
「此奴は己に気がある」…
「浜田君、くどいようでももう一度念を押しま…
「こう云う時には、却って郊外を散歩しましょ…
「今日は君には飛んだお手数をかけましたなあ…
「浜田君、君は昼飯をたべたんですか」…
「松浅」…
「ところで浜田君、僕は聞きたいことがあるん…
「するとあの時の連中は、一人残らず?―――…
「だがいいですよ、まあ一遍はああ云う女に欺…
「あたし?―――荷物を取りに来たのよ」…
「おい、鍵を置いて行かないか」…
「ねえ、いいでしょう、二階へ荷物を取りに行…
「今夜は何を取りに来たんだい?」…
「でも大丈夫よ、そんな悪い事はしやしないわ…
「じゃあ承知してくれたのね?」…
「譲治さん、何をそんなに見ているの?」…
「時分はよし」…
「何よ譲治さん! それじゃ約束が違うじゃな…
「譲治さんはこの頃変よ、少うしどうかしてい…
「えらい音をさせるなあ」…
「あの時分にはお前は無邪気なもんだったがね…
「どうした? 譲治さん、昨夜は大変だったわ…
「どうしたんだい、朝ッぱらから湯になんぞ這…
「譲治さん、剃ってくれるのはいいけれど、一…
「じゃ、条件通りにする?」…
「さ、今度は腋の下」…
「よ、なぜ黙っている! 何とか云ってくれ!…
「さ、これでいいか」…
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