谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「今日はア」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「あら」
「お母さんどうしたの?ダンスやらないの?」
「やだ、私なんて」
「あんなの私、絶対無理。それに月謝20円なんて、高すぎるよ」
「だって初めて習うんだから仕方ないよ」
「別に、みんなが習い始めたら、その人たちに教わればいいの。ダンスなんてそれぐらいでいいよ。どう?賢いでしょう」
「ずるいなあお母さん!賢すぎるよ。…ところで『浜さん』って2階にいる?」
「うん、いるよ。行ってみて」
「ふーん」
「ナオミ、今下にいた学生たち、あれって誰?」
「あれは慶應のマンドリンクラブの人たちだよ。口は悪いけど、そんなに悪い人じゃないよ」
「みんなあなたの友達なの?」
「友達っていうほどじゃないけど、たまにここに買い物に来ると会うから、それで知り合いになったの」
「ダンスをやるのは、そういう人たちが多いのかなあ」
「うーん、どうだろう…学生より年上の人の方が多いんじゃない?行って見れば分かるよ」
「ワン、ツー、スリー」

原文 (会話文抽出)

「今日はア」
「どうしたのまアちゃんは? あんたダンスをやらないの?」
「やあだア、己あ」
「あんなもなあ己あ真っ平御免だ。第一お前、月謝を二十円も取るなんて、まるでたけえや」
「だって始めて習うんなら仕方がないわよ」
「なあに、いずれそのうちみんなが覚えるだろうから、そうしたら奴等を取っ掴まえて習ってやるのよ。ダンスなんざあそれで沢山よ。どうでえ、要領がいいだろう」
「ずるいわまアちゃんは! あんまり要領がよ過ぎるわよ。―――ところで『浜さん』は二階にいる?」
「うん、いる、行って御覧」
「溜り」
「ナオミちゃん、今下にいた学生たちは、ありゃ何だね?」
「あれは慶応のマンドリン倶楽部の人たちなの、口はぞんざいだけれど、そんなに悪い人たちじゃないのよ」
「みんなお前の友達なのかい」
「友達って云う程じゃないけれど、時々此処へ買い物に来るとあの人たちに会うもんだから、それで知り合いになっちゃったの」
「ダンスをやるのは、ああ云う連中が重なのかなあ」
「さあ、どうだか、―――そうじゃないでしょ、学生よりはもっと年を取った人が多いんじゃない?―――今行って見れば分るわよ」
「ワン、トゥウ、スリー」


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