谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「ヨイショ! ヨイショ!………ヨイショ! …

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「よいしょ!よいしょ!よいしょ!よいしょ!」
「あら、なにそれ!そんなに押したら壁にぶつかるじゃない!」
「さあ、今度はホニカ、ウワ、ウイキ、ウイキだ!」
「よし来た!これはハワイのお尻振りダンスだ。みんな歌いながらお尻を振るんだ!」
「あははは、お尻の振り方は関さんが一番うまいよ」
「そりゃそうさ。俺、これでも研究したからね」
「どこで?」
「上野の平和博覧会でさ。万国館で土人が踊ってたでしょ?俺、そこへ10日間も通ったんだ」
「バカだな」
「お前も万国館に出ればよかったのに。お前の顔なら土人と間違えられたよ」
「おい、まアちゃん、もう何時?」
「さあ、何時かな?時計持ってない?」
「うん、持ってる。―――」
「わ、もう10時20分だぜ」
「大丈夫よ。11時半にならないとパパは帰ってこないんだから。これから長谷の街を一回りして帰ろうよ。あたしこの格好で賑やかなところを歩いてみたいわ」
「賛成々々!」
「でもこの風で歩いたら一体何に見えるだろう?」
「どう見ても女団長だね」
「あたしが女団長なら、みんなあたしの部下なんだよ」
「白浪四人男じゃねえか」
「それじゃあたしは弁天小御前よ」
「女団長河合ナオミは、―――」
「―――夜陰に乗じて、黒いマントに身を包み、―――」
「うふふふ、やめてよそんな下品な声出すの!」
「―――4人の悪漢を引き連れて、由比ヶ浜の海岸から―――」
「やめろまアちゃん!やめなかったら!」
「あ、痛い、―――下品な声は俺の地声さ。俺が浪曲師になれなかったのが、世間の恨みだ」
「でもメリー・ピックフォードは女団長にはならないよ」
「じゃ誰だい?プリシラ・ディーンかい?」
「うん、そうだ。プリシラ・ディーンだ」
「ラ、ラ、ラ、ラ」

原文 (会話文抽出)

「ヨイショ! ヨイショ!………ヨイショ! ヨイショ!」
「アラ、何よ! そんなに押しちゃ塀へ打ッつかるじゃないの」
「さ、今度はホニカ、ウワ、ウイキ、ウイキだ!」
「よし来た! 此奴あ布哇の臀振りダンスだ、みんな唄いながらけつを振るんだ!」
「あッはははは、おけつの振り方は関さんが一番うまいよ」
「そりゃそうさ、己あこれでも大いに研究したんだからな」
「何処で?」
「上野の平和博覧会でさ、ほら、万国館で土人が踊ってるだろう? 己あ彼処へ十日も通ったんだ」
「馬鹿だな貴様は」
「お前もいっそ万国館へ出るんだったな、お前の面ならたしかに土人とまちげえられたよ」
「おい、まアちゃん、もう何時だろう?」
「さあ、何時だろう?¨か時計を持っていねえか?」
「うん、持っている、―――」
「や、もう十時二十分だぜ」
「大丈夫よ、十一時半にならなけりゃパパは帰って来ないんだよ。これからぐるりと長谷の通りを一と廻りして帰ろうじゃないの。あたしこのなりで賑やかな所を歩いて見たいわ」
「賛成々々!」
「だけどこの風で歩いたら一体何に見えるだろう?」
「どう見ても女団長だね」
「あたしが女団長なら、みんなあたしの部下なんだよ」
「白浪四人男じゃねえか」
「それじゃあたしは弁天小僧よ」
「エエ、女団長河合ナオミは、………」
「………夜陰に乗じ、黒きマントに身を包み、………」
「うふふふ、お止しよそんな下司張った声を出すのは!」
「………四名の悪漢を引率いたして、由比ヶ浜の海岸から………」
「お止しよまアちゃん! 止さないかったら!」
「あ痛え、………下司張った声は己の地声さ、己あ浪花節語りにならなかったのが、天下の恨事だ」
「だけれどメリー・ピクフォードは女団長にゃならないぜ」
「それじゃ誰だい? プリシラ・ディーンかい?」
「うんそうだ、プリシラ・ディーンだ」
「ラ、ラ、ラ、ラ」


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