谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「今日も独りで留守番かね?」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「今日も一人で留守番?」
「うん、誰も来なかった」
「じゃあ寂しくなかった?」
「最初から一人でいるって決めてれば、寂しくないよ。あたし平気」
「あたし、賑やかなのも好きだけど、一人も嫌いじゃないな。子供の頃は友達なんて全然いなくて、いつも一人で遊んでたもん」
「ああ、そうだったね。ダイヤモンド・カフェにいた時なんて、仲間ともあんまり喋らないで、ちょっと陰鬱だったよな」
「うん、そう。あたしお転婆に見えるけど、本当は陰鬱なんだよ。―――陰鬱ってダメ?」
「大人しいのはいいけど、陰鬱になられると困るな」
「でもこの間みたいに騒ぐよりはいいでしょ?」
「そりゃあ全然いいよ」
「あたし、いい子になったでしょ」
「どうかな、ちょっとダンス行かない?今夜あたり」
「どうでもいい―――譲治さんが行きたいなら、―――」
「それより映画に行こうよ。今日はダンスする気にならないわ」

原文 (会話文抽出)

「今日も独りで留守番かね?」
「ええ、独りよ、誰も遊びに来なかったわ」
「じゃ、淋しくはなかったかね?」
「始めから独りときまっていれば、淋しいことなんかありゃしないわ、あたし平気よ」
「あたし、賑やかなのも好きだけれど、淋しいのも嫌いじゃないわ。子供の時分にはお友達なんかちっともなくって、いつも独りで遊んでいたのよ」
「ああ、そう云えばそんな風だったね。ダイヤモンド・カフエエにいた時分なんか、仲間の者ともあんまり口を利かないで、少し陰鬱なくらいだったね」
「ええ、そう、あたしはお転婆なようだけれど、ほんとうの性質は陰鬱なのよ。―――陰鬱じゃいけない?」
「大人しいのは結構だけれど、陰鬱になられても困るなア」
「でもこの間じゅうのように、暴れるよりはよくはなくって?」
「そりゃいくらいいか知れやしないよ」
「あたし、好い児になったでしょ」
「どうだね、暫くダンスに行かないから、今夜あたり行って見ようか」
「どうでも―――譲治さんが行きたいなら、―――」
「それより活動へ行きましょうよ、今夜はダンスは気が進まないわ」


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