GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』
現代語化
「でも、でもどうかナオミさんを捨てないでください」
「もしもあなたに捨てられたら、きっとナオミさんは堕落します。ナオミさんに罪はないんですから。―――」
「ありがとう、本当にありがとう!君の好意がどんなに嬉しいか分からない。そりゃ僕だって15歳の時から面倒を見てきたんだから、世間から笑われたとしても、決してあの子を捨てようなんて気はないんです。ただあの子は頑固だから、どうにかうまく悪い友達と切れるように、それを心配しているだけなんです」
「ナオミさんはかなり意地っ張りだから。つまらないことでふとした喧嘩になっても、もう仲直りできません。そこのところを上手にやってください。生意気なことを言いますが。―――」
「ありがとう、ありがとう」
原文 (会話文抽出)
「浜田君、僕は御忠告に従って、いずれ何とか二三日のうちに処置をつけます。そしてナオミが熊谷とほんとに手を切ってくれればよし、そうでなければもう一日も一緒にいるのは不愉快ですから、………」
「けれど、けれどあなたは、どうかナオミさんを捨てないで上げて下さい」
「もしもあなたに捨てられちまえば、きっとナオミさんは堕落します。ナオミさんに罪はないんですから。………」
「有難う、ほんとに有難う! 僕はあなたの御好意をどんなに嬉しく思うか知れない。そりゃ僕だって十五の時から面倒を見ているんですもの、たとい世間から笑われたって、決してあれを捨てようなんて気はないんです。ただあの女は強情だから、何とか巧く悪い友達と切れるように、それを案じているだけなんです」
「ナオミさんはなかなか意地ッ張りですからね。つまらないことでふいと喧嘩になっちまうと、もう取り返しがつきませんから、そこのところを上手におやりになって下さい、生意気なことを云うようですけれど。………」
「ありがとありがと」