谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「譲治さん、きっとあたしを捨てないでね」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「譲治さん、絶対私を捨てないでね」
「捨てるなんて…そんなことしないから安心して。ナオミは俺の気持ちよく分かってくれてるでしょ」
「うん、それは分かってんだけど」
「じゃあ、いつから分かってたの?」
「んー、いつからだろう」
「俺がお前を世話するって言った時、ナオミはどう思った?立派な女性にして、いつか結婚するつもりじゃないかって」
「そう思ったけど」
「じゃあナオミも俺の奥さんになってもいいって来てくれたんだ」
「ありがとう、ナオミ。ほんとありがとう。よく分かってくれてた。…俺、今だから言うけど、ナオミがこんなに…こんなに俺の理想通りになってくれるなんて思ってなかった。俺はラッキーだったんだ。一生可愛がるよ。…お前だけを。…世間にあるような夫婦みたいにお前を粗末に扱わないよ。ほんとにお前のために生きてるって思ってて。お前の望みは全部叶えてあげるから、お前のほうも勉強して立派な人になってね」
「うん、一生懸命勉強するよ。そして譲治さんが喜ぶような女性になる。絶対」

原文 (会話文抽出)

「譲治さん、きっとあたしを捨てないでね」
「捨てるなんて、―――そんなことは決してないから安心おしよ。ナオミちゃんには僕の心がよく分っているだろうが、………」
「ええ、そりゃ分っているけれど、………」
「じゃ、いつから分っていた?」
「さあ、いつからだか、………」
「僕がお前を引き取って世話すると云った時に、ナオミちゃんは僕をどう云う風に思った?―――お前を立派な者にして、行く行くお前と結婚するつもりじゃないかと、そう云う風には思わなかった?」
「そりゃ、そう云う積りなのかしらと思ったけれど、………」
「じゃナオミちゃんも僕の奥さんになってもいい気で来てくれたんだね」
「ありがとよ、ナオミちゃん、ほんとにありがと、よく分っていてくれた。………僕は今こそ正直なことを云うけれど、お前がこんなに、………こんなにまで僕の理想にかなった女になってくれようとは思わなかった。僕は運がよかったんだ。僕は一生お前を可愛がって上げるよ。………お前ばかりを。………世間によくある夫婦のようにお前を決して粗末にはしないよ。ほんとに僕はお前のために生きているんだと思っておくれ。お前の望みは何でもきっと聴いて上げるから、お前ももっと学問をして立派な人になっておくれ。………」
「ええ、あたし一生懸命勉強しますわ、そしてほんとに譲治さんの気に入るような女になるわ、きっと………」


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