林不忘 『丹下左膳』 [Gemini]
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林不忘 『丹下左膳』
「ムフフ、御後室様はいまだにあの源三郎のこ…
「父?……父上! 父上!」…
「そうして、帰ってくるかと思うと、私の言う…
「だからじゃ。そのお町という女に実意があれ…
「お前さんの番か。なんじゃ」…
「そっちは好きでやっていることだろうが、隣…
「ほんとに先生、御足労をおかけしまして、あ…
「オウ、お美夜ちゃんとこの居候じゃアねえか…
「ヤア、あたいと父上が、一生懸命にまもって…
「コレコレ、小娘、貴様、寝ぼけたのではある…
「相手は誰だ、相手はッ?」…
「おれたちがこうしていられるのも、泰軒先生…
「こういうときア、痩せても枯れてもお侍だ。…
「御師範代、御心配無用」…
「穴の底におぼれてるやつを、土で埋ずめりゃ…
「父! 父上! ヨウ! まだ生きているの?…
「われらは、火事に焼けた当家の者、あと片づ…
「先生ッ、先生イッ!」…
「筑紫の不知火も、さまで光らぬものじゃのう…
「ふしぎなこともあるものだ。これでチョビ安…
「ナニ、女の子だと?」…
「コラッ、小娘、どこへゆく」…
「ウム、そのトンガリ長屋なら、おまえをここ…
「ウム、お美夜ちゃんか。かわいい名じゃのう…
「――――?」…
「お召しでございましょうか」…
「ウフフフフフフ……愚楽、そちの抱いておる…
「どうです、上様。底に種仕掛けはございます…
「上様、蓋をまだお持ちでございますな」…
「御存じのとおり、茶壺にはいろいろの焼きが…
「ハハア、そうか」…
「オヤッ!」…
「常々あ○○心驕○て――」…
「これが驚かずにいられますか。あのお庭の根…
「昨夜深更に、何奴かが忍びいって……」…
「オヤ! 何もはいっていない……」…
「こ、これ、とうとう――お壺を、手に入れて…
「御家老、このお上屋敷は、御当家御初代の時…
「ははア、それはおめでたいことで――こけ猿…
「じゃから、そういうわけじゃから、御藩をと…
「ウフッ、どうかと思うね」…
「おやすみなさいやアせ。あったかい冷飯もご…
「これは、どうも。よい風が吹きますなあ。そ…
「旅は道づれ、世は情けてえことがありまさあ…
「何度も言うようじゃが、寝覚めが悪いねえ、…
「御相談……」…
「貴公、そっちを持て。からだから軽いだろう…
「丹波ア……!」…
「泣きなさんな。なア、おめえさん、源三郎を…
「アノ、もうお薬をめしあがる時刻で……」…
「おれは今朝、源三にだまってブラリとここを…
「源三、こんなに女の子に思われるのは、あだ…
「あたくしほんとうに、もうもうどうなるかと…
「ナニ? 何? 姐御はおいらをお見忘れなす…
「田丸様の若党と申したな。しかとそれに相違…
「さわるまいぞエ手を出しゃ痛い、伊賀の暴れ…
「偽物いかに現わるるとも、急所をきわむれば…
「宗匠、三遍まわってワンと言えば、それもし…
「残念でござりますが、ふたたびとり逃がしま…
「不敵なやつだ」…
「江戸からか?」…
「なあおい、せっかくここまで、あとをつけて…
「農工商のうえだと申しても、武士もこうなっ…
「こやつ、いつのまに――?」…
「なんの。これだけの人数のそろっておるとこ…
「いつもながら上様のおこころ配り、行きとど…
「殿、この女はいったい――旅のお慰みとして…
「どこにいるかの……源三郎は、この兄の出て…
「諸侯のうらやむお役を引き当てましたことは…
「御承知のとおり、江戸から日光への往復の諸…
「なんだ、娘。貴様はどこからまいった」…
「ハテ、面妖な! いまたしかにどこかで、ア…
「オウ、姐ちゃん、その饅頭をこっちへもひと…
「あたいの父はどこへ行た あたいのお母………
「オオ、お立ちあいの衆、この中にも、親の気…
「兄妹でしょうか」…
「なア、これで泰軒先生に、今夜も寝酒の一杯…
「なんだい、おまえさん、何をするんだい。子…
「ウフフフ」…
「日光には、たしか弘法大師御作の不動尊の御…
「それはそうと、どうして作阿弥どのがここに…
「大岡……大岡越前守か。うむ、いつぞやこの…
「お爺ちゃん、チョビ安さんのためなら、あた…
「おらア湯にへえってたんだが、ガラッ熊の野…
「お母さんですよ。コレ! おまえの母者です…
「わしの娘じゃが、某所へ腰元にあがったまま…
「作阿弥殿、では、御出立を――」…
「しかし、おどろきましたな。私が見たときは…
「峰様におたずね申しあげます。お蓮様はどこ…
「なんだろう、何者か立ち聞きをしていたので…
「矢立と懐紙を……」…
「コレ、これを見るがよい。丹波め、すっかり…
「なんじゃ。用というのを早く申せ」…
「あの伊賀の暴れん坊以上の腕ききが、そうた…
「コレコレ、源三郎――!」…
「偽物ッ! からくりは見抜いたぞ!」…
「こうお山開きに手間どっては、お事始めは棟…
「護摩堂の壁へ――という話であったが――?…
「おじちゃん、お爺ちゃんは、あの雲の下にい…
「えエイちくしょう、泣かしゃアがる」…
「こんなに骨を折っても、どうしても笑わねえ…
「おじちゃん! 聞いてくんねえ」…
「安大人」…
「くたびれたろうね、お美夜。足が痛くはない…
「ねえ母ちゃん、もうじき日光なの?」…
「はい。あなた様のお目にも、まぎれもなく母…
「ちと無礼でござろう。誰にことわって、ここ…
「コラコラッ、いずこへまいる」…
「ねえ、母ちゃん、ここはもう日光なんだろう…
「ああ見えていて、狂気だそうだ。娘はまた、…
「いえ、わたしは狂気ではありません」…
「待った! 気の毒だが、その駕籠に用がある…
「なんだ」…
「左膳のやつ、まだウロウロしていてくれれば…
「駕籠は……駕籠は――」…
「お美夜という女の子は、いるかの」…
「イヤ、それとこれとは、別な話じゃが、その…
「ワアッ! てえへんでえ、てえへんでえ! …
「とは言うものの――」…
「お爺ちゃん! あたいだよ、安公だよ! 泰…
「オヤ、文がはいっておるぞ」…
「おお、お父上!」…
「安大人、お前は下山してしまっては、なつか…
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