林不忘 『丹下左膳』 「ナニ? 何? 姐御はおいらをお見忘れなす…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

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「なに? なに? 姉御は俺のこと忘れたって言うんですか。情けない、へっ、情けないよ」
「10年も20年も会ってないわけじゃないんですけど――いやね、あれからすぐ、駒形高麗屋敷の尺取り横町にお邪魔したんですけど、びっくりしましたよ。貸家札が貼ってました……」
「何を言ってるのか、さっぱり分かんないよ。確かに俺は江戸っ子だけど、そのなんとか横町とか駒駒形とかは、縁もゆかりもない反対の方角で、江戸と言うより田舎に近い、ひどくダサい四谷のはずれなんだよ」
「お姉さん、冗談言っちゃいけませんよ。この与の公の前で、そんなしらばっくれるなんて、お藤姉さんも酷いですね」
「ちょっと、人違いだって言わせてもらいますよ、姉御。顔を見ても後ろ姿を見ても、お藤姉さんはお藤姉さんでしょ。なぁ、また遊びで、あの尺取り虫の踊り子を連れてさ、気晴らしがてら、街道沿いを歩いてるんですか?相変わらず派手ですね。実は俺もあれから……はぁ、何から話せばいいのか――」

原文 (会話文抽出)

「ナニ? 何? 姐御はおいらをお見忘れなすったというんですかい。情けねえ、ヘッ、情けねえや」
「十年も二十年も、会わねえってわけじゃなし――いえね、あれからまもなく、駒形高麗屋敷の尺取り横町へ、おたずねしていったんでごぜエやすが、イヤ、おどろきましたね。貸家札がぺったりと……」
「何を言うてるんだか、おまえさんの話はさっぱりわからないよ。なるほどわたしは江戸者だが、そのなんとか横町とか駒形なんかには、縁もゆかりもない方角ちがい、江戸というよりも在方に近い、ひどく不粋な四谷のはずれのものなのさ」
「オウ、姐さん、ふざけちゃいけねえ、この与の公を前にして、そんなしらを切るたア、お藤姐さんもあんまりだ」
「コウ、人違いでござんすとは言わせませんや、姐御。たてから見たって横から見たって、お藤姐さんはお藤姐さんだ。ナア、またお道楽に、あの尺取り虫の踊り子を供に連れてサ、こうして気保養がてら、街道筋に草鞋をはいてでござんすか。おうら山吹きの御身分でござい。実アね、あっしもあれから……ハアテね、何からどう話してよいやら――」

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