林不忘 『丹下左膳』 「ウフフフフフフ……愚楽、そちの抱いておる…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

現代語化

「ウフフフフ…愚楽、そなたが抱えてるのは、あれはなんだろう」
「エヘヘヘヘ、とうとう伊賀のこけ猿が、大岡越前の手に渡りました」
「夜中でも構わず、ご目見えを願い出た失礼をお咎めなく、こうして直接お言葉を頂戴し、ありがたい幸せに存じます。いつもながらご機嫌麗しく拝し、恐悦至極でございます」
「どうしてこの壺が、越前の手に?そこら辺の経緯は、どうかお尋ねにならないでください」
「おお、例の莫大な金のありかを記したこけ猿か…どれどれ」
「愚楽、越前。お前たちはもうその壺を開けて見たんだろうな?」
「はい」
「ところが、紙切れなどは中に入っていない――」
「それが、上様、不思議じゃあございませんか。何も入ってないんです」
「フーン、入っていない。そうなると、柳生の埋蔵金というのは、ただの伝説…いや、とんでもない作り話だったのかな」
「上様、お尋ね申し上げます」
「ん?なんだ」
「もし紙切れを壺に隠すとなったら、まずどこでしょうか?」
「何を言ってるんだ。壺に封じるわけだから、もちろん壺の中だろ?」
「それが、なんども言うようですが、中に入っていないんです」
「それじゃあ、最初からなかったんだろう」
「そこなんです。私もそう考えましたが、もう一度お考え願えませんか?」
「うん、分かった!ハハハハハ、分かったぞ」
「二重底か?」

原文 (会話文抽出)

「ウフフフフフフ……愚楽、そちの抱いておるのは、そりゃ、なんじゃ」
「エヘヘヘヘ、とうとう伊賀のこけ猿が、大岡越前の入手するところとなりまして」
「夜中をもかえりみませず、お眼通りを願い出ました無礼、おとがめもなく、かくは直々お言葉をたまわり、ありがたきしあわせに存じまする。いつもながらごきげんうるわしく拝したてまつり、恐悦至極に存じまする」
「どうしてこの壺が、越前の手にはいりましたか、そこらの筋道は、なにとぞおたずねなきよう」
「ホホウ、例の大金の所在を知るこけ猿とやら――どれどれ」
「愚楽、越前。お前たちはもうその壺をあけて見たであろうな」
「ハッ」
「ところが、紙片などは中にはいっておりません――」
「それが、上様、ふしぎじゃあございませんか。何もはいっていないんで」
「フウム、はいっておらぬ。スルト、柳生の埋宝というのは、ひとつの伝説……いや、とんでもない作りごとにすぎなかったのかな」
「上様、おたずね申しあげます」
「ウ? なんじゃ」
「およそ紙きれなどを壺にかくすといたしますれば、まず、どこでございましょうな?」
「何をいう。壺に封じこめる――つまり、壺の中に決まっておるではないか」
「それが、ソノ、なんども申すとおり、はいっておりませんので」
「それならば、はじめからないのであろう」
「サ、そこです。とそう、私も考えましたが、いま一度お考え願えませんでしょうか」
「ウム、わかった! ハハハハハ、わかったぞ」
「二重底だな?」


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