林不忘 『丹下左膳』 「おれは今朝、源三にだまってブラリとここを…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

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「俺は今朝、源三郎に何も言わずにここを出たけど、あいつの足で妻恋坂の道場に行ってみると、今夜儀式があるのか、屋敷中が騒がしいんだ。これはラッキーと思って土蔵に忍び込んで、鎧櫃に隠れてると……なぁ源三郎、これがお前のまだ運の残ってるってことだろう。夜になると、俺が入ってた鎧櫃が、道場の正面に運び出されて、その前で跡目相続の儀式が始まったんだ。道場の主になろうとしてるのは言うまでもなく峰丹波」
「はい、丹波は、二代目十方斎の名とお継母さんのお蓮様を手に入れようとしてるんです。そのために私を……」
「私を――結婚することになってた源三郎様を亡き者にしようとし、私を幽閉状態にしてて……」
「おい、濡れ燕、お前もよく頑張ったけど、残念だったな、丹波を逃がしたのは」
「これでいい。萩乃と源三郎を会わせれば、丹下左膳の役目は終わったんだ。さて、俺はこれから……」
「おい、ちょっと待ってくれ。萩乃とおれを二人きりにするのか――困るな、どうも」
「好きな女と二人きりになって、困るってのもないだろ、ハハハハハ」
「いや、実はその、その……」

原文 (会話文抽出)

「おれは今朝、源三にだまってブラリとここを出たが、あの足ですぐ妻恋坂の道場へ行ってみると、何やら今夜儀式があるとかで、屋敷じゅうざわめいているじゃねえか。これはさいわいと土蔵へ忍びこみ、鎧櫃にひそんでいると……ナア源三郎、これがおめえのまだ運のつきねえところというのだろう。夜になると、そのおれのはいった鎧櫃が、道場の正面へかつぎ出されて、その前で遺跡相続のかためが始まったのだ。道場のあるじに直ろうとしているのは言うまでもなく峰丹波」
「ハイ、丹波は、二世十方斎の名と、継母お蓮の方とを天下はれて手に入れようとの魂胆でございます。そのために、わたくしの……」
「わたくしの――夫ときまった源三郎様を亡き者にしようとし、また、このわたくしをも押しこめ同様に……」
「コレ、濡れ燕、おめえもよく働いてくれたが、残念だったなア、丹波をうちもらしたのは」
「サ、これでいい。萩乃と源三郎を会わしてしまえば、丹下左膳の役目はすんだのだ。サア、おれはこれから……」
「オイ、ちょっと待ってくれ。萩乃とおれを二人きりにして――困るなア、どうも」
「惚れられた女と二人きりになって、困るってやつもなかろうじゃアねえか、ハッハッハッハ」
「イヤ、ところがその、実は、その……」

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