林不忘 『丹下左膳』 「どこにいるかの……源三郎は、この兄の出て…

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「どこにいるのか……源三郎は、この兄がやってきたことも、知らないだろう。体が無事なら、それでいいけど……」
「当ててみませんか?」
「何を、どういうことです?」
「殿様のお金で、一晩のうちにあちこちに隠した金額を――さあ、まず、日光再建に必要な金額。100両より多くもなく、100両より少なくもないだろう」
「まずそんなところでしょうか……なにしろ、あの愚か者のすることですから」
「田丸、殿様に日光の金を出すなんて、いや、とんでもない恥をかいたよ。でも、自分の藩の金を使わせようとして、その金をわざわざ庭の隅に隠さなきゃならなくなったとは、徳川も随分ヘマをやらかしたものだ」
「これッ、殿!」
「フン、私の前で、将軍様の悪口を言ったって、そんなに恐縮することはないさ。将軍様でも、隻眼隻隻腕の浪人でも、侍の悪口なら、こっちが先に立って言いたいところだよ」
「こんな女です」
「別所信濃に、すぐに私の到着を知らせなさい」

原文 (会話文抽出)

「どこにいるかの……源三郎は、この兄の出てまいったことも、知らぬであろう。からださえ達者なら、大事ないが……」
「当ててみようかノ?」
「何を、でございます」
「上様のお手で、一夜のうちにこの屋敷の隅に埋ずめた金額を――サア、まず、日光修覆にカッキリ必要なだけ。それより百両と多くもなく、また、百両とすくなくもないであろう」
「まずさようなところかと……なにしろ、あの愚楽老人のやることでございますから」
「田丸、上様に日光の金を出してもらうなどと、イヤ、とんだ恥をかいたの。だが、わが藩に金を使わせる気で、その金を御丁寧に、こっそり庭の隅に埋ずめておかねばならん羽目にたちいたったとは、徳川もいい味噌をつけたものじゃ」
「これッ、殿!」
「フン、あたしの前で、公方様の悪口を言ったって、なにもそんなに用心することはありゃアしない。将軍様にしろ、隻眼隻腕の浪人さまにしろ、お侍の悪口なら、こっちが先に立って言いたいくらいだよ」
「こういう女じゃ」
「別所信濃へ、早々余の到着を知らせたがよいぞ」

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