林不忘 『丹下左膳』 「ああ見えていて、狂気だそうだ。娘はまた、…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

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「あの人、狂ってんだってー。娘も生まれつきのバカで、母娘そろってアレじゃ、かわいそうすぎるよ」
「日光御山内っていう厳重警戒中の場所で、なんでそんな母娘の狂人がプラプラしてんだよ」
「どっからともなくフラフラッと、鹿沼新田のお関所あらわれたんだって」
「捕まえて聞いても、全然わかんないことばっか言うし、引き渡すにもどこに住んでるかわかんないし、でもそのままうろつかせるわけにもいかんし、清浄な場所だから邪魔なんだよな。造営奉行の顔に泥だな」
「追い出せばよくね?」
「それがさ、貧しい旅人っぽいんだけど、顔とか言葉がなんとなく武士とか偉い人っぽくもあるんだよなあ。そのまま追い出して、あとからなんかあったら、このお造営に傷がつくかもしれん」
「あー、わかった。街でフラフラさせたら迷惑だし、追い出すこともできんから、あの家で閉じ込めて監視させてるんだな。厄介なやつが来たもんだな」
「でもさー、相手は狂人とバカ娘なんだから、家から出なければいいんだし、ラクな仕事もらったもんだな」

原文 (会話文抽出)

「ああ見えていて、狂気だそうだ。娘はまた、生まれつきの馬鹿で、母娘そろってあのありさまとは、なんとも哀れなものじゃのう」
「御造営竣工まで、厳のうえにも厳なる警戒を要する日光御山内に、どうしてまた、ああいう母娘づれの狂人などが、舞いこんできたのであろう」
「さればサ、どこからともなくフラフラッと、鹿沼新田のお関所にさしかかったと申すことじゃ」
「捕えてただしてみても、何を言うやらさっぱり要領を得ぬ。引き渡そうにも、身もとは知れぬし、と言って、ああいう者をさまよわせておいては、清浄森厳であらねばならぬ御造営の眼ざわりじゃ。造営奉行の面目にもかかわる」
「追放すればよいではないか」
「サ、それがさ、貧しい旅の服装ではあるが、顔姿、言葉のはしはしなど、武家も大どころの者らしいふしが、ないでもない。このまま山から追い出して、あとでひょんなかかりあいにでもなろうものなら、この御修営に疵がつこうというもの」
「ははあ、それでわかった。自ままに町を歩かせては人さわがせ、追い出すこともならず、というわけで、ああしてあの一軒家にとじこめ、われらを見張りにつけておくのじゃな。厄介な者がとびこんできたものじゃなア」
「しかしまア、相手は狂人と馬鹿娘のことだ。家から出しさえせねばよいのじゃから、遊び半分の楽な役まわりをおおせつかったというものじゃテ」

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