林不忘 『丹下左膳』 「じゃから、そういうわけじゃから、御藩をと…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

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「マジ、マジでさ、藩取り潰すとか言ってるけど、絶対幕府がそう考えてるわけじゃねえから。ちょっとこけ猿が隠してんのかなんか知らねえけど、マジヤバい金があるから、一部を日光に寄付すんだってさ。将軍様がさ、ありがたいことにそー言ってるわけよ」
「でも、意外とこけ猿に邪魔が入っちゃったみたいでさ。本物かどうかわかんねえ壺がゴロゴロ出てきちゃって」
「マジかよ、それ柳生藩じゃ超迷惑なことなんだよなァ」
「そらそーだろ。金がグチャグチャに転がってるんだから、欲張りばっかが集まっちまうんだろ。将軍様も困ってて、お前のとこを手ぇ貸してこいって俺に言ったわけよ。で、俺も大岡越前守と相談して、町にウワサの侠客がいるんだ。そいつには言えねえけど、あいつに探させようって」
「マジでスか?ウチの殿様にも絶対話しますよ。マジ感激です」
「ところでよ、柳生のこけ猿っていくつあるんだ?」
「ハァ?」
「いくつかって、当然一個だろ?それ以外は全部偽もん」
「それは知ってるけど、偽物も昔っから柳生藩に何個かあるんじゃねえの?」
「いや、そんなのはないと思うけど、こけ猿のことなら、ウチのお茶師の国元宗匠に聞かないと、俺一人じゃ言えないわ」
「そーか。こないだどっからか手に入れた茶壺、こけ猿のホンモノだって将軍様や越州、俺がウッキウキで封印を剥がしてみたら、確かに虫食いだらけの古い地図が出てきたけど、内容がやたら簡素で、柳生の先祖が書いたとは思えなかった。虫食いも何か怪しくてさ。でも、ホンモノがずっと見つからねえと柳生殿に迷惑ばっかかかるから、ちょっとこけ猿は後回しにして、必要な金だけ幕府のポケットマネーから出すことにしたのさ。とりあえず、庭の隅を掘ってみて。マジな人ならポチが鳴くから。大判小判、ザックザクさ。アッハハハ」
「申し訳ございませんが、ウチの先祖様がこの地に黄金を埋められた時から、天の神、地の神が財宝を守られていると……」

原文 (会話文抽出)

「じゃから、そういうわけじゃから、御藩をとりつぶそうのなんのというのが、決して御公儀の考えであるわけはなし、いわば、こけ猿の蔵しておる秘財の何分の一、イヤ、何十分の一――それは、真のこけ猿がみつかり、宝の所在が明らかにならねば、いかほどまでに莫大なる財産かわからぬから、しかとしたことは言えぬが、とにかくその一部分を日光につかわせようというのが、将軍家のありがたいおぼしめし……」
「しかるに、こけ猿に意外の邪魔がはいり、真偽いずれともしれぬ壺が、いくつとなく現われた」
「ハッ、その儀は、手前ども柳生藩の者一同、実にどうも、近ごろ迷惑しごくのことに存じおりまするしだいで」
「イヤ、そうであろう。黄金のうずたかきところ、醜きまでにあらわな我欲迷執の集まることは、古今その軌を一つにする。上様におかせられても、お手前らの困憊がお耳に達し、なんとかして公儀の手をもって真のこけ猿を発見してやりたいものじゃと、わしにお言葉が下がったので、届かぬながらもこの愚楽が、大岡越前守殿と相談のうえ、ある巷の侠豪……その者の名は言えぬが――に頼んでナ、ひたすら捜索してもらったのじゃ」
「ありがたき御芳志、手前主人にもなれなく取りつぎまする考え、いかに感佩いたしますことか……」
「ところで、貴殿にうかがうが、いったい柳生のこけ猿と申すは、いくつあるのかな?」
「ハ?」
「いくつと申して――むろんそれは、一つにきまっております。他はすべて贋物」
「サア、それはわかっておるが、その贋のこけ猿が、二つ三つ御藩の手もとにも昔から伝わっておるのではないかな?」
「イヤさようなことはないと存じまするが、しかし、こけ猿の儀につきましては、国元なる一風宗匠と申す藩のお茶師にきいてみねば、何事も手前一存にては申しあげかねまする」
「そうであろう。先日某所より入手いたした茶壺、これこそは真のこけ猿に相違なしと、上様と越州と、拙者といきおいこんでその壺の紙を剥ぎ取りたるところ、なるほど虫食いのあとはげしき古図一枚、現われはしたものの、文言地図等簡略をきわめ、とても、思慮ある柳生家御先祖の真の書き物とは思われぬ。その虫食いのあとなどもナ、はなはだ怪しきもので――じゃが、こういつまでも本物のこけ猿がお手にはいらぬようでは、柳生殿の御迷惑こそ思いやらるる。でナ、こけ猿の詮索はしばらく第二に、御造営に入用な額だけは、上様のポケット・マネイを……ということになったのじゃ。マア、何も言わずに、お庭の隅を掘ってみなされ。正直爺さんポチが鳴く。大判小判、ザック、ザク――あっはっはっは」
「つつしみつつしみて申す。わが先祖ここに地下に黄金を埋ずめ給いてより、梵天帝釈、天の神、地の神、暗の財宝を守り護り給うて……つつしみつつしみて申す」

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