林不忘 『丹下左膳』 「いえ、わたしは狂気ではありません」…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

現代語化

「いや、私は狂ってなんかません」
「サクアミとか南無阿弥とか、ずっとわけわかんないこと言ってるくせに」
「まあまあ、好きに喋らせておけばいいじゃねーか」
「どなたか偉い人に会わせてもらえませんか?」
「もちろん、城主様でも将軍様でも、どなたでもお取り次ぎいたします。では屋敷でお待ちください」
「えー、なに言ってんのよ。日光って、狂人ばっかりなのね。気持ち悪い!」
「やべー、困った。確かに言われてみると、俺たちも毎日狂人を守ってたら、気がおかしくなりそうだ」
「え、私を狂人だって?」
「いえいえ、そんなとんでもない! そんな失礼なことをあなたに――」
「しつこいかもしれないけど、私たち母娘は作阿弥を探しに来たんです」
「出たー! サクアミ始まったー! あははは、わははは」
「サクアミ様を探してるなら、会わせてあげようじゃないか。日が暮れると、あの太郎山の頂上に宵の明星がピカリ、ピカアリと光るんだ……」
「おいおい、やめろって」
「この星が光るっていうのは、お星様から下界に青い糸を投げるからなんだ。サクアミ様はその糸にぶら下がって、スルスルスルッと降りてきて、あの杉の木のてっぺんに毎晩降りてくるんだよ。ははは」
「やめろってば! 本気にされちゃうだろ」

原文 (会話文抽出)

「いえ、わたしは狂気ではありません」
「サクアミとか、南無阿弥とか、たえず妙なことを口ばしっておるようじゃが」
「ナニ、言いたいことをいわせておけばよいのじゃ」
「どなたか上の方に、お眼どおりを許していただくわけにはまいりませんでしょうか」
「ハイハイ、御城主様でも公方様へでも、どなたへでもお取り次ぎを申しまするで、どうぞ、お屋敷でお待ちのほどを、願いあげまする」
「マア、何を言うのでしょう。日光というところは、狂人ばかりそろっているのねえ。気味の悪い!」
「イヤ、こいつは参った。まったく言われてみると、狂人のお守りをしているわれらも、こう退屈では、いつのまにか気が変になろうも知れぬテ」
「なんですって? わたしを狂者ですと?」
「イエイエ、とんでもない! あなた様に対して、けっしてさような失礼なことを――」
「くどくお願いするようですけど、私ども母娘は、作阿弥をたずねてまいったもので」
「ソウラ! サクアミが始まった! あはははは、ワッハッハッハ」
「サクアミ様をおたずねなら、お会わせ申すはわけのないこと。日が暮れますと、あの太郎山の頂上に宵の明星がピカリ、ピカアリと光りまするナ……」
「オイオイ、よせよせ」
「そもそも、この、星が光ると申しますのは、お星様から下界へ向かって、青い糸を投げおろしまするので――サクアミ様はその糸にぶらさがって、スルスルスルッと降りてきましてな。ホラ、あの杉の木のてっぺんへ、毎晩おくだりになりますよ、ヘッヘッヘ」
「よせと言うのに! 本気にされたら、また厄介じゃあないか」

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