林不忘 『丹下左膳』 「ほんとに先生、御足労をおかけしまして、あ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

現代語化

「本当に先生、来てくれてありがとうございました。これで竹の野郎も、どうにか改心するでしょう。お世話になりました――」
「あれ?…」
「これは、茶壺じゃないか」
「うむ」
「ううん、汚い壺だな。こんな汚い壺が、この貧乏長屋にあるのは恥ずかしい。いや、目障りだ。本当に、古い汚い壺だなぁ」
「竹さん、この壺はどうやって手に入れたんですか?」
「へえ、本当に申し訳ありません。こんな汚い壺で」
「いや、謝らなくていいです。どこでこの壺を拾ったんですか?」
「いえ、拾ったわけじゃないんです。駒形の高麗屋敷の、とある横町を屑を売りに歩いてたところ、綺麗なお姉さんが『ちょっと屑屋さん…』」
「声真似はやめてください」
「すみません。で、そのお姉さんが、この壺はあまりにも汚くて、見てると気分が悪くなるから、屑屋さん、タダで持って行ってくれって――」
「駒形の高麗屋敷?」
「はい、そうだと思います。誰だって、この汚れた壺見てると胸が悪くなるだろうし。こんな汚い壺を長屋に置いておくなんてできません。竹さん、この壺もらってって、裏のどぶ川に捨てさせてもらってもいいですか?」
「いいですよ、先生。どうぞ持ってってください。壊すなり捨てるなり…クソ壺だ」
「では、この汚い壺、持って帰らせていただきます」

原文 (会話文抽出)

「ほんとに先生、御足労をおかけしまして、ありがとうございました。これで竹の野郎も、どうにか性根を取りもどすでしょう。どうもお世話さまで――」
「オヤ……?」
「なんじゃ、これは、茶壺ではないか」
「ウーム」
「ううむ、きたない壺だな。こんなきたない壺が、このとんがり長屋にあっては、長屋の不名誉じゃ。イヤ、眼ざわりになる。じつにどうも、古いきたない壺だナ」
「竹さん、貴公、どうしてこの壺を手にいれられたかな?」
「ヘエ、まったくどうも、こぎたねえ壺で、申しわけございません」
「イヤ、そうあやまらんでもよろしい。どこで、この壺をひろってこられたか」
「いえ、ひろってきたわけではないので。駒形の高麗屋敷の、とある横町を屑イ、屑イと流していますと、乙な年増が、チョイト屑屋さん……」
「コレコレ、仮声は抜きでよろしい」
「恐れ入ります。すると、その姐さんが、これはあまりきたねえ壺で、見ていても癪にさわってくるから、どうぞ屑屋さん、無代で持って行っておくれと――」
「駒形の高麗屋敷?」
「イヤ、そうであろう。誰とても、このよごれた壺をながめておると、胸が悪くなる。こんな不潔な壺を長屋へ置くことはできん。竹さん、わしはこの壺をもらっていって、裏のどぶッ川へ捨てようと思うが、異存はないであろうな?」
「異存のなんのって、どうぞ先生、お持ちなすって、打ちこわすなり、すてるなり……ふてえ壺だ」
「では、これなる不潔な壺、ひっくくってまいるぞ」


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