夏目漱石 『野分』 [Gemini]
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夏目漱石 『野分』
「教師をおやめなさるって、これから何をなさ…
「やあ」…
「ふんだいぶ広いな」…
「何の祝杯を挙げるのだい」…
「おい中野君」…
「僕だって三年も大学にいて多少の哲学書や文…
「遺失品て、何を落したんだい」…
「さよう」…
「我々が生涯を通じて受ける煩悶のうちで、も…
「いえ、せっかくですが少々急ぎますから」…
「あなた」…
「そう見えるかい」…
「どこぞへ行ったのかい」…
「今でも、そんな御金が這入る見込があるんで…
「どこへ行く」…
「ああ云う連中が行くのかい」…
「今のは面白かった。今までのうち一番よく出…
「ありゃ、音楽の批評でもする男かな」…
「よう、いらっしゃいました」…
「君二三日前に白井道也と云う人が来たぜ」…
「解脱と拘泥……憂世子」…
「おや、富田が通る」…
「だんだん寒くなりますね」…
「いえ、そうじゃないので――ただ――ただっ…
「先生ならいいかも知れません」…
「分りましたか」…
「先生はだいぶ御忙しいようですが……」…
「高柳さん」…
「閑静な御住居ですね」…
「うまく、唱えました。もう少し稽古して音量…
「あの像は」…
「気高過ぎて……」…
「その指輪は見馴れませんね」…
「こんな指輪だったのか知らん」…
「奥さんはどうしたでしょう」…
「この間の音楽会には高柳さんとごいっしょで…
「先生」…
「先生もう少し散歩をなさいませんか」…
「先生」…
「先生」…
「先生、私の歴史を聞いて下さいますか」…
「先生」…
「先生、罪悪も遺伝するものでしょうか」…
「忘れても、すぐ思い出します」…
「君は自分だけが一人坊っちだと思うかも知れ…
「そうさね。忘れていた」…
「これは」…
「さあ、あちらへ――僕もいっしょに行こう」…
「さあ、いらっしゃい」…
「葉巻はやめたのかい」…
「それさ」…
「昨日須崎の種田家の別荘へ招待されて鴨猟を…
「時に高柳はどうしたろう。御前あれから逢っ…
「本は売れたのですか」…
「近頃の本は借金同様だ。信用のないものは連…
「あなた、いつまでこうしていらっしゃるの」…
「だいぶ吹いてるな」…
「御寒いのによく」…
「御兄さんの所から御使です」…
「今のが、黒田東陽か」…
「文芸復興は大なる意味において父母のために…
「六ずかしい問題じゃ、わたしにもわからん」…
「文学に紅葉氏一葉氏を顧みる時代ではない。…
「だから学問のことは学者に聞かなければなら…
「それを金があるからと云うてむやみにえらが…
「うん、煙草を飲んじゃ、わるかったね」…
「あの障子なんか、宿の下女にでも張らしたら…
「君に金を借りるのか」…
「君の親切を無にしては気の毒だが僕は転地な…
「淋しい庭だなあ。桐が裸で立っている」…
「ここに百円ある。あとはまた送る。これだけ…
「頼む」…
「いえ、少し転地しようかと思いまして」…
「先生」…
「君、この原稿を百円に買って上げませんか」…
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