GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『野分』
現代語化
「うん、聞くよ」
「うちの親父は町で郵便局の役人やってたんだ。俺が7歳の時に捕まっちゃった」
「後で聞いたら公金使い込んだんだって――その時は何も知らなかった。母親に聞くと、お父さんはすぐ帰ってくる、すぐ帰ってくるって言ってた。――でも結局帰ってこなかったんだ。帰れるわけないよな。肺病になって、留置場の中で死んじゃったんだって。それもずっと後になって聞いた話だよ。母親は家を畳んで村に引っ越した。……」
原文 (会話文抽出)
「先生、私の歴史を聞いて下さいますか」
「ええ、聞きますとも」
「おやじは町で郵便局の役人でした。私が七つの年に拘引されてしまいました」
「あとで聞くと官金を消費したんだそうで――その時はなんにも知りませんでした。母にきくと、おとっさんは今に帰る、今に帰ると云ってました。――しかしとうとう帰って来ません。帰らないはずです。肺病になって、牢屋のなかで死んでしまったんです。それもずっとあとで聞きました。母は家を畳んで村へ引き込みました。……」