オリンピック開催都市は、一時的な世界首都である

2020年の夏季オリンピックの開催都市が東京に決まったことを受けて、考えたことをまとめました。

オリンピック開催都市は、一時的な世界首都である:

都市と関心

オリンピックにおいて、その開催都市は、世界中に広く強烈にアピールされる。*

オリンピック (とそれに関係するものの複合体)は、世界のさまよう関心を一都市に集めるレンズであり、最も影響力がある関心項目(アジェンダ)の提供装置である。この大集中された関心を受けられる都市は、100年間に50都市しかない。**

世界との結節

オリンピック は「世界(全)」である。単一の存在である(例えるなら、餅。米のつぶが見えない)。これが時間を経るにつれて鎖を形成していく。

対して、我々が普段、触れている世界は、「世界(粒)」である。それの実際は、他国に住む複数の個人である(例えるなら、ご飯。米のつぶが見える)。国を超えた個人と個人の網(ネットワーク)であり、これが時間を経るにつれて、組み替えられていく。

オリンピックでは、オリンピックという「世界(全)」の歴史・権威・権力と、

  • 開催地の歴史
  • その歴史と開催地の民が支え、また戴く権威
  • 開催地の民の意思を反映した権力

が、結節される。ここに挙げた要素それぞれ(「開催地の民」を含む。一位に開催都市の民)が、「世界(全)」につながるのである。

特権的地位

オリンピック という公正な勝負のために作られた全く平等な場において、運営管理者たる開催都市は、圧倒的に高い地位を持つ。

補足:

* アピールされることが分かっているので、再開発がされる。都市の世紀において、広く共有された、数としては少数のスローガンの元に、都市を再開発 (development) でき、それを広く強烈に世界にアピール (demonstration) できるオリンピックは、絶好の機会である。

** 同時に、 オリンピック開催都市は、大集中された関心に晒されても立ち続けなければならない。

初出:
2013年9月9日 – 7:03
2013年9月9日 – 7:17
2013年9月9日 – 7:18
2013年9月14日 – 13:02
2013年9月14日 – 13:03
2013年9月14日 – 20:18
2013年9月14日 – 20:19

関連:

バンクーバーオリンピック 2010年02月13日(開会式)の Twilog

ロンドンオリンピック開会式を見る 2012年

渡月橋

2013年 8月24日に京都・嵐山に所用があり、ついでに渡月橋を観光してきました。

Togetsu-kyo Bridge, Arashiyama

最初は、橋長155 m の巨大建造物であるところが見所なのかな、と思ったのですが、橋の上で確信したことは、

  渡月橋一帯の広大な空間

が見所なのだということです。

View from Togetsu-kyo Bridge, Arashiyama

渡月橋が、亀山上皇が、橋の上空を移動していく月を眺めて「くまなき月の渡るに似る」と感想を述べたことからと名付けられた(Wikipedia, 2013年9月18日 (水) 16:12 の版)ことからも分かるように、川幅が広くなった桂川にかかる渡月橋からの全天の眺めを遮るものはありません。

渡月橋のすぐ上流には、西高瀬川の起点になる葛野大堰((かどのおおい))があり、悠然と水をたたえています。そして、水面(みなも)の背景は、緑の山です。

壺にとって、中の空間が一番大事だという話がありますが、渡月橋は、空間を感じさせる、そしてそれと同時に壺をみせる装置だと言えます。

(補足: これは小雨の日に観光したからかもしれませんが、橋のたもと(中ノ島公園)はとても静かで、道路橋でもある渡月橋上でも静かでした。この静けさも見所です。)

Arashiyama 2013 – a set on Flickr

台風18号にともなう嵯峨嵐山の観光について | 京都市観光協会