労働組合は、ポリアーキー(Polyarchy)を構成する一つの活動の場である *。
労働組合の、(駆動を目的とする)情報発信は、内部と、企業と統治機構(政治)に向かっている。
小川 仁志 : 日本を再生!ご近所の公共哲学 ―自治会から地球の裏側の問題まで (技術評論社, 2011) pp.67-68.
アメリカのロバート・ダールによる議論は、私たちに大きな示唆を与えてくれるものといえます。… アメリカの社会をよく見ると、実際には一つのエリート集団が政治を牛耳っているわけではなく、むしろ企業、労働組合、政党、宗教団体、マイノリティといった様々な利益集団が権力を分かちもっているというのです。
それらが互いに競合しながら、調整を行い、権力を行使しているわけです。その意味で、民主主義というのは諸団体による統治なのです。ダールは『統治するのはだれか』において、こうした民主主義のあり方を「ポリアーキー」と呼びました。
ポリアーキーの特徴は、個人単位で活動するのではなく、諸団体が相互に交渉し合い、議会に対しても影響力を及ぼすことで権力を行使していく点です。これによって、選挙や議会制度といった民主主義の形式的な側面を補完することが可能になります。個人単位だと、わざわざ政治のための議論の場に参加する必要が生じますが、自分の属する団体が政治の単位だということになると、そこで日常的に繰り広げられる議論は、そのまま政治のための議論につながってくるわけです。
* 初出:
小川仁志「日本を再生!ご近所の公共哲学」にいうポリアーキーと、その一つの実践の場としての労働組合。
— TAKAGI-1 高木 一 (@takagi1) October 14, 2013