鉄血ペディア 第3回【アリアドネ(第6話より)】 | V-STORAGE
「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のアリアドネから想起されることは、GPS(Global Positioning System)と「海洋の管制」(そして、その発展概念である「公共財の管制」)である:
「海洋の管制」とは、「(所要の重要)海洋を(必ずしも長期持続的ではないが)自ら望む時に自ら望む方法で自由に利用(Assured Access)し、同時に敵にはそれを許さない(Area Denial)」 (大熊 康之 : 戦略・ドクトリン統合防衛革命―マハンからセブロウスキーまで米軍事革命思想家のアプローチに学ぶ (かや書房, 2011) p.74.)ことである。
通常、海洋をはじめとする公共財として挙げられるのは、海洋、空中、宇宙、サイバースペースである。
しかし、GPSが作り出した構造は、比較的 私有財において管制する。
GPSを利用したナビゲーションシステムは、地上においても使用できる。ナビがあれば、見知らぬ土地であっても、安心して移動ができる。
逆に、GPS が使えなくなれば、見知った土地であっても、我々の生活は大打撃をうける。なぜならば、物流において運転手が土地勘がない地域において物を運ぶということがあり、またGPS を利用した機械に我々は囲まれているからだ。
米国は、GPS という公共財を通じて、公共財である海洋だけでなく、比較的 私有財である各国の国土を管制できる。
管制されるにも関わらず、人間は、どうしてGPSを必要とするのか。
それは、土地というものが複雑性をもつからだ。ここで、複雑性を、以下のように定義する:
複雑性
=初心者に大きな不安を与え得るものがもつ性質
=〈制御・観測できない損失源との接触頻度〉×〈損失の大きさ〉が大きいものがもつ性質。
ここから考えられるのは、不安な状況は、新たな管制者を呼ぶ、ということである。