梅花女子大学が運営し、この4月から活動を開始する、“梅花歌劇団”の名前は「劇団この花」だそうだ。
名称の由来は、難波津の歌、即ち
難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花
である。渡来人・王仁が、仁徳天皇の即位にあたり、その治世の繁栄を願って詠んだ、とされる。なお、「この花」とは、梅の花を指すそうだ。
さて、「咲くやこの花」と言って個人的に想起されるのが、日本神話の木花開耶姫(このはなさくやひめ)である。
しかし、以下に書くことの結論として、「咲くやこの花」と木花開耶姫は、分けて考えたほうがよい。
木花開耶姫は、富士山本宮浅間大社をはじめ、浅間大社で祀られている。火の中で子を出産した(その時の子のひとりの孫が、神武天皇とされる)ことから火の神であるが、火を抑える水の神であり、安産の神、子育ての神とされる。
富士山に鎮座し、東日本を守護し、その名に含まれる「木花」は桜の花を指すとされる(なお、江戸時代に品種改良で生まれたソメイヨシノではない)。
おそらく難波津の歌に込められたのは、難波津と掛けて水の神である点と、安産・子育ての神である点であろう。(もしかしたら、仁徳天皇が東日本を治める豪族から支援されていたのかもしれないが。)