労働運動における「闘争」

私が、労働運動における「闘争」の意味を自分なりに理解するには、マルクスとエンゲルスによる『共産党宣言』を読む必要があった。

マルクス, エンゲルス=著, 大内 兵衛, 向坂 逸郎=訳 : 共産党宣言 (岩谷文庫, 2007) p.10. (エンゲルスによる「1883年ドイツ語版への序文」)

したがって(太古の土地共有が解消して以来)全歴史は階級闘争の歴史、すなわち、社会的発展のさまざまな段階における搾取される階級と搾取する階級、支配される階級と支配する階級のあいだの闘争の歴史であった。

私の理解では、「闘争」とは、戦略的状況における行為であり、すなわち主体同士の相互作用を指す。

私が考えるに、「闘争」は、不確定の誘導であるが、不確定が破滅を起こすことは稀であり、大抵、(主体の能力に著しい差異がない場合には)安寧が訪れる。

なぜならば、闘争が主体のレベルを保たせ、また、闘争が外乱を吸収する(外乱に乗じた闘争は、それによって利益を得た主体が、その後、外乱に対処しなければならなくなるので、外乱に対する共同戦線が発生する)ので、社会に破滅が起こらない。

ガンダムにおける〈人外、且つ外にある(と仮想される)神〉からの独立

「機動戦士ガンダムUC」の、西暦最後の日 12月31日 初代地球連邦政府首相 リカルド・マーセナス のスピーチ

宇宙世紀 改暦セレモニー記念演説(機動戦士ガンダムUC) (sm20021422) – ニコニコ大百科

わたしはどのような宗教にも属していませんが、無神論者ではありません。

高みを目指すため、自らの戒めとするため、己の中により高次な存在を設定するのは、人の健康な精神活動の表れと信じています。

西暦の時代、それは神の言葉としてさまざまに語られてきました。

人はどのように生きるべきか。

いかにして世界と向き合うべきか。

モーゼが授かった十戒の例を持ち出すまでもなく、それらに対する教えはあらゆる宗教に伝えられています。

人間の言葉ではなく、人と神の契約の説話として。

いま、神の世紀に別離を告げる我々は、契約更新の時を迎えようとしています。

今度は超越者としての神ではなく、我々の内に存在する神――より高みに近づこうとする心との対話によって。

宇宙世紀の契約の箱は、人類がその総意から生み出したものであるべきでしょう。

地球連邦政府の総意のもと、そこに神の名はありません。

人類の原罪についても言及されていません。

これから先、もし最後の審判が訪れるとしたら、それは我々自身の心が招きよせた破局となるでしょう。

すべては我々が決めることなのです。

言葉の思想をなくさない

森 有正 : 生きることと考えること (講談社現代新書, 1970) p.23.

一つの障害を乗り越えると、それに名をつける。

森 有正 : 生きることと考えること (講談社現代新書, 1970) p.88.

 第二には、ヒューマニズムというのは一つの「ことば」ですから、ことばとしてそれを使うには、やはり自分の中にヒューマニズムということばであらわされる実体がなくてはならない、ということです。実体なしにそれをかってに使って、ヒューマニズムをつくろうといっても、それはことばだけに終わってしまう。(中略) …平和とか、自由とか、人間とかのばあいも同じことですが、ヒューマニズムに至るためには、ヒューマニズムから出発してもだめなのです。

動員単位

組織が地域に提供するのは、人口・税収だけでなく、動員単位もある。

動員単位(の母集団=企業)内での個人の間の関係が継続することにより、自由時間が減っても・疲労しても、(得意なことなら人一倍)実行する動機が生まれる。結果、企画の具現を完遂でき、個人が成果を実感できる(成果の継続的な出力につながる)。

強力な組織

行為面:

・(1) 意思

強力な組織は、求心力が高く、組織の防衛力が高いため、所属個人の間の関係が継続する。これにより、所属個人は、自由時間が減っても・疲労しても、(得意なことなら人一倍)実行する動機が生まれる。

・(2) 能力

強力な組織は、高い実行能力を持っている。

(1)、(2)により、企画の具現を完遂でき、成果が生まれる。

また、これにより、所属個人が成果を実感でき、組織の継続的な成果の創出につながる。

行為の結果面:

強力な組織は、世界を制御し、世界の効率を上げ、世界人口を増やし、世界が生み出す成果を増やす。

俗の良いもの

[正]が(正しい言葉と正しい知識が)、世界の混沌とした知識を整理し、体系付けし、それらを総活用できるようになり、次の世界を造るのだと考えていた。

しかし、[俗]が、世界を生かし、その残滓が正なのだ。

ああ、ミネルヴァのフクロウは、夕暮れに飛び立つのだ。

[正]は、それに従うものではない。[正]は生み出され、後につづく者に残すものなのだ。先端の領域に身をおけば、特にそうである。

真・善・美 という重要な3概念がある。

[正]と[俗]という指標で見ると、

  [正] 真・善・美・〈俗の良いもの〉 [俗]

という並びになる。

〈俗の良いもの〉がもつ特徴のひとつは、歩み寄りの概念である。

たとえば、コミュニケーションである。

稲見 昌彦 : スーパーヒューマン誕生! 人間はSFを超える (NHK出版新書, 2016 〈底本はNHK出版新書(2016)〉) 位置No. 1071/2390.

コミュニケーションも言語や身体動作を介して、双方の知識をシンクするための行動と捉えることができる。

[正]から[俗]に向かう流れは、評論家の流れである。

反対に、[俗]から[正]に向かう流れは、当事者・担当者の流れである。

[俗]には、〈俗の良いもの〉と〈俗の悪いもの〉があるので、それに向き合うには知的な緊張感を持ち続けなければならない。

自らの相対化

押入に、高校の武道の時間に使った竹刀を見つけた。

数年ぶりに握り、構えて気づく:

剣とは、身体の拡張である。そして、剣=自らの身体 を見る行為(身体の拡張がなければ、なかなか体験できない)、さらに、その細長く、全周が外気に触れている様を見る行為により、自らを第三者的に見て、自らを相対化するのである。

さて、我が国の三種の神器は、八咫の鏡・草薙の剣・八尺瓊の勾玉である。勾玉が胎児をかたどっているならば、鏡・剣・勾玉は全て、自らを相対化する装置である。

国家は、自らを相対化して、仲良しグループによる統治機構でなくなるのだ。

「ヘルシング」の、この言葉が想起される:

平野 耕太: HELLSING 電子書籍版 (少年画報社) p.129.

ありがたいことに
私の狂気は
君達の神が
保障してくれると
いう訳だ

よろしい
ならば私も問おう

君らの神の
正気は

一体どこの
誰が保障して
くれるのだね?

初出:
Facebook 2016/ 4/10

都市づくりの復興計画は、総合的な復興計画とは切り離して早期に策定する。基本方針は災害後 1~2週間で策定

熊本地震から1週間が経ちました。今紹介することが必要な文章だと考えましたので、ブログで、急ぎ紹介します:

越澤 明 : 復興計画 – 幕末・明治の大火から阪神・淡路大震災まで (中公新書, 2005) pp.245-247.

[阪神・淡路大震災では、]しかし、一方では、都市復興のビジョン(復興の目標と復興事業の守備範囲、被災の状況把握、復興が必要な地区の選定理由、復興事業の種類、道路・公園・広場等の公共用地の確保の必要性、減歩率のおおむねの見通し、行政主導で定めるものと住民主導で定めるものの区別、狭小宅地や高齢者に対する政策・配慮など)の公表と説明が遅れた。

 復興計画には都市計画と住宅に関する復興ビジョン(…)と、産業・生活・福祉・文化などを含めたすべての行政計画を包含する復興計画(地方自治法の総合計画に相当する。総花的・八方美人的になりがちであり、焦点がぼやけてしまう)の二つが存在する。兵庫県、神戸市ともに、前者単独の発表を抑えて、後者の形で復興計画を公表した。このことは誤りであると筆者は考える。

 災害復興に際しては、まず、都市計画と住宅に絞ってビジョンと方針を早急に、一ヵ月以内に、荒削りであっても素案の形で公表し、それと同時に、建築制限を行い、住民の理解、議会と世論の反応を踏まえながら成案としていくやり方が望ましかった。

 松谷春敏(当時の兵庫県都市住宅部計画課長、現・国土交通省都市・地域整備局街路課長)は一九九八(平成一〇)年刊行の兵庫県都市住宅部の復興記録『ひょうごの復興都市づくり』の中で「都市復興所感」と題し、震災から二週間後に課内でできていた都市復興基本計画の骨格が県全体の復興計画、市町復興計画との調整のため、素案発表が三月(六月の誤植か?)にずれこんだことを「くれぐれも悔やまれる」、「住民やマスコミ向けの情報発信が十分ではなかった」とし、早期の復興方針の発表、「報道官のような専門の情報発信組織を設ける」べきことを指摘している。

 このような教訓があったため、東京都が一九九七年に『東京都都市復興マニュアル』を策定した際、筆者は委員・幹事・作業部会員であったが、都市づくりの復興計画を総合的な復興計画とは切り離して早期に策定する必要性を繰り返し指摘した。その結果、震災から一~二週間で都市復興基本方針を策定し、一~二ヵ月で都市復興基本計画(骨子案)を公表し、その後、復興都市計画原案等の作成・周知、都市計画決定を経た後、六ヵ月以内に都市復興基本計画を策定するというプロセスが東京都の復興マニュアルに盛り込まれた。

不安な状況は、新たな管制者を呼ぶ

鉄血ペディア 第3回【アリアドネ(第6話より)】 | V-STORAGE

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のアリアドネから想起されることは、GPS(Global Positioning System)と「海洋の管制」(そして、その発展概念である「公共財の管制」)である:

「海洋の管制」とは、「(所要の重要)海洋を(必ずしも長期持続的ではないが)自ら望む時に自ら望む方法で自由に利用(Assured Access)し、同時に敵にはそれを許さない(Area Denial)」 (大熊 康之 : 戦略・ドクトリン統合防衛革命―マハンからセブロウスキーまで米軍事革命思想家のアプローチに学ぶ (かや書房, 2011) p.74.)ことである。

通常、海洋をはじめとする公共財として挙げられるのは、海洋、空中、宇宙、サイバースペースである。

しかし、GPSが作り出した構造は、比較的 私有財において管制する。

GPSを利用したナビゲーションシステムは、地上においても使用できる。ナビがあれば、見知らぬ土地であっても、安心して移動ができる。

逆に、GPS が使えなくなれば、見知った土地であっても、我々の生活は大打撃をうける。なぜならば、物流において運転手が土地勘がない地域において物を運ぶということがあり、またGPS を利用した機械に我々は囲まれているからだ。

米国は、GPS という公共財を通じて、公共財である海洋だけでなく、比較的 私有財である各国の国土を管制できる。

管制されるにも関わらず、人間は、どうしてGPSを必要とするのか。

それは、土地というものが複雑性をもつからだ。ここで、複雑性を、以下のように定義する:

複雑性
=初心者に大きな不安を与え得るものがもつ性質
=〈制御・観測できない損失源との接触頻度〉×〈損失の大きさ〉が大きいものがもつ性質。

  関連: 解釈: 複雑性という指標――今日の闘争における鍵

ここから考えられるのは、不安な状況は、新たな管制者を呼ぶ、ということである。

初出:
Facebook 2016/ 4/ 8