自国語と外国語

言語能力の不足は、外交の敗北に繋がる。

言語能力は、主に自国語によって訓練される。しかし、自国語はその「国語」としての歴史のなかで簡易化されているので、自国語に秀でることが、言語能力のある部分において弱点をもつことに繋がりかねない。

外国語の知識は、自国語が原因である弱点を気づかせ、言語能力の隙を減じさせる。

「システム」の制圧のために

「システム」の制圧を政治的な勝利をもって達成するためには、

● 対象「システム」における生活機能(非脅威)と安全保障機能(脅威)を区分け、あるいは、事前情報がないならば即座の脅威判定を行い、
● そして、脅威に致命的な影響を与えなければならない。

即ち、諜報力とアクセス力が必要である。

確率的勝利

森 博嗣 : 笑わない数学者 (講談社文庫, 1999) p.384.

「負け方が分からなかったんだよ、君は」犀川が言う。「勝つことばかり考えていた。どうやって負けたら良いのかも、考えなくちゃ。それが名人というものさ。…」

「勝つか負けるかなんて、ちょっとした運なんだ。どっちだって良い。

勝敗は六分か七分勝てばよい――岡崎 久彦「戦略的思考とは何か」

大連

竹内 正浩 : 鉄道と日本軍 (ちくま新書, 2010) p.197.

 青泥窪は、ニコライ二世によってロシア語で「遠い」という意味のダーリニー(達爾尼[:ダルニ])と改称された。

竹内 正浩 : 鉄道と日本軍 (ちくま新書, 2010) p.198.

 陥落七か月後の明治三八年一月二七日、占領行政を担当する日本の遼東守備軍は、紀元節の二月一一日をもって青泥窪を大連と改称する旨、布告している。

「善」とは、モンスターの影響を減らす仕組みがもつ性質

「善」とは、モンスターの影響を減らす仕組みがもつ性質である。即ち、モンスターの数を減らす仕組み、また、モンスター個体の影響力を減らす仕組みがもつ性質である。

初出: Twitter / @TAKAGI-1 高木 一: 2011/4/16

モンスター化を防ぐ人文学

モンスター化を防ぐ人文学。

茂木 健一郎 : 思考の補助線 (ちくま新書, 2008) p.15.

利害が必ずしも一致しない人たちが集まって社会ができる。ときにはならず者や極悪人や独裁者が現れるこの世の中でいかに平和を保ち、繁栄を志向し、幸せを実現できるか。そのような真摯な関心から、経済学や政治学といった人文社会の諸学は顕れた。

2011年3月掲載・毎日新聞「異論反論」 テレビ消し、仕事に戻ろう – 岡田斗司夫公式ブログ

今回の大震災について、被害は大きく分けて4つある。
1次災害…地震や津波
2次災害…原発事故やインフラ破壊
3次災害…社会不安
4次災害…モンスター化する我々

… 実は災害で最も被害の大きいのは1次2次ではなく3次4次だ。それは天災でもなく、権力者やメディアの怠慢でもない。我々自身が起こしたり防いだりできることだ。

…あなたの自制は社会の不安を減らす。

…我々自身が災害の原因になってモンスター化してはいけない。

災害の近くでもちゃんと定食屋を開けている主人がいる。定時運行を心がけている鉄道マンたちがいる。だからみんな「あ、やっぱり大丈夫なんだ」と少しだけ安心できる。この「小さな安心」がムダな社会不安を減らし3次4次災害を減らす。

Twitter / @岡田斗司夫: どの時代のどの民族もモンスター化します。僕もあなたも同じです。だから「自分や身近な人がモンスター化する確率を減らす」しか対抗手段はないんです 2011/3/23 10:41am

悲劇のエピソード

災害の後においてみられる、悲劇のエピソードの報道は「教科書に載らない」 情報である。

水村 美苗 : 日本語が亡びるとき (筑摩書房, 2008) p.251.

この世には二つの種類の〈真理〉がある。別の言葉に置き換えられる〈真理〉と、別の言葉には置き換えられない〈真理〉である。別の言葉に置き換えられる〈真理〉は、教科書に置き換えられる〈真理〉であり、そのような〈真理〉は〈テキストブック〉でこと足りる。ところが、もう一つの〈真理〉は、別の言葉に置き換えることができない。それは、〈真理〉がその〈真理〉を記す言葉そのものに依存しているからである。その〈真理〉に到達するには、いつも、そこへと戻って読み返さねばならない〈テキスト〉がある。

 アリストテレスがいまだ読み続けられているのは、かれの書いたものが〈テキストブック〉には還元できない〈テキスト〉でもあるからにほかならない。

津波で満ち満ちた堤防を見て感じた恐怖

東北地方太平洋沖地震の際に、津波で海側が海水で満ち満ちた堤防をテレビで見て恐怖を感じた。

この恐怖の本質を考えた。

「満ち満ちている」ことは、永遠・無限を暗示する。

海水で満ち満ちた堤防から、私は、災禍の永遠・無限を感じ取ったのだ。

茂木 健一郎 : 思考の補助線 (ちくま新書, 2008) p.134.

 私たち人間が自分たちの卑小さを痛感するのは、「無限」に向き合うときである。

自由が拘束をもたらす例

Twitter / @TAKAGI-1 高木 一: コートの胸のあたりががきついな、と思いながら数日過ごしていたのだが、理由が分かった。着脱式の内張りをとめる片方の肩のボタンが外れ、腕を通す時につられて引張られた内張りが、もう片方の肩でコート本体を引き寄せていたのだ。 (2011/ 3/25 10:55pm)

内張りをとめるボタンが外れるという「自由」状態が、コートの胸のあたりががきついという「拘束」状態を生んだ。

自由が拘束をもたらす例として、興味深く思った。

「日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第4回 開戦・リーダーたちの迷走」視聴記録

見逃していた NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第4回 開戦・リーダーたちの迷走」(2011/ 3/ 6 放送) をNHKオンデマンドで視聴しましたので、感想を書きます。

3:40 できない戦争を4年間やったのか。それを4年間できちゃったのか。

6:00 開戦時の米国の国力(総合力)は、日本の80倍。それでは、戦争にならない国力差オーダとはいか程なのか。

9:35 大本営政府連絡会議。参加者の権限が対等で意志決定できない。

12:00 「文字で妥協、作文でね。」

14:00 あいまいな首脳部は、現場の拡大解釈を許すことになった。

25:00 説き伏せるだけの言葉があるか。

25:40 犠牲者は、大きな精神的拘束力をもったサンクコストになる。

30:20 以下を思い出した。「国家は貴官を大学校に学ばせた。貴官の栄達のために学ばせたのではない」坂の上の雲 5 p.113.

32:00 奇策は、でも奇策でしかない。

34:40 勇気ある決断が出来ない国家。当時の日本はそうだった。それも国力。

39:30 輸送船舶量(南方石油の輸送)に注目が集まった。

44:00 最後通諜では原則を示す。それは相手への妥協がないため、相手は全く飲めない。

関連:
Togetter – 「日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第4回 開戦・リーダーたちの迷走 周囲の感想」