英国のEU離脱の大きな理由は、東ヨーロッパからの移民である。つまり、ソビエト連邦の崩壊が起点になっている。
ソ連崩壊により、東ヨーロッパの有能で安い労働力が、西側経済に組み込まれた。これが、1990年代以降の、世界的経済発展の大きな要因である。
英国のEU離脱は、その煽りが発現したものだ。EU域の辺境である英国において、それは起こった。
マルクス・エンゲルスの「共産党宣言」の1890年のドイツ語版序文において、エンゲルスが、共産主義革命の候補地として挙げていたのは、当時の世界の辺境である、アメリカとロシアであった。
そして、この二つの事情は、アメリカ自身にたいしても革命的な反作用をおよぼす。全政治制度の土台である自作農の中小の土地所有は、巨大農場の競争によってしだいにやぶれ、同時に、工業地帯では、おびただしいプロレタリアートと、考えられないような資本の集積とが、はじめて発展しつつある。
では、ロシアはどうか! 一八四八―四九年の革命当時には、ヨーロッパの君主たちだけなく、ヨーロッパのブルジョアもまた、ロシアの干渉を、ちょうどはじめて目ざめつつあったプロレタリアートからの唯一の救いと考えていた。ツァーリはヨーロッパ反動の首領である、と宣言された。今日、彼は革命の捕虜としてガッチナにいる。そして、ロシアはヨーロッパの革命的活動の前衛になっている。
辺境は、周囲との調整圧力が弱い(すなわち、大陸的ではない)ためか、保守にせよ、革新にせよ、絶妙な組み合わせではなく、大きくどちらかに振ったものが、表(おもて)に現れやすい傾向にある。
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>ベルリンの壁が崩壊して、およそ15年が過ぎました。その間、東側の安くて優秀な労働力が西側システムに組み込まれることにより、世界の産業・経済は大きな変化を遂げました。