大東亜戦争の開戦にあたり、我が国首脳部を「空気」が支配したことが知られている(山本 七平「「空気」の研究」、猪瀬 直樹「空気と戦争」)。「空気」の支配を排した、防衛政策決定の仕組みを考えてみる。
「空気」の本質は、感情移入(共感)である。感情移入状態では、個別と一般の確率を同じだと認識してしまう非論理に陥りやすい。感情移入は、「AならばB」ならば「BならばA」だと誤って結論する、人間の性質である刺激等価性の働きに依るものであり、即ちその機序(メカニズム)そのものも非論理である。
よって、首脳部において「空気」の支配を排するためには、首脳部構成員は、共感を排し、確率・統計について正確に認識し、「AならばB」と「BならばA」を区別できるよう論理的に明晰でなければならない。
共感を排することについて詳しく書くと、首脳部構成員は、首脳部の他の構成員との共感を排しなければならない。
首脳部構成員は、他国首脳部・他国国民に対して、共感、すなわち思考を読まなければならない。
また、政治的に国民の代表である首脳部構成員は、国民と共感すべきである。
図にすると、以下になる:
[首脳部の他の構成員]
↑
共感しない
↓
[首脳部構成員]━━━━━━━━━━━━━━━━━━共感━━[他国首脳部・他国国民]
確率・統計への正確な認識 論理的な明晰さ 知識
┃ ┃
┃ ┃ *1 政治的に国民の代表である首脳部構成員は、国民と共感すべきである。
共感 共感
┃ ┃ *2 特定の国民との共感に支配されず、また共感していない大部分の国民の意思を
┃ ┃ 考慮するため、確率・統計への正確な認識が重要である。
┃ ┃
[国民] [国民] [国民] [国民] [国民]