工業における数値流体力学のアウトプット

数値流体力学では、ミクロ(瞬間・局所)の状態をアウトプットできる。

しかし、一般に求められることは、マクロの改善に供することである。

工業的には、ものの破壊につながるような現象が局所的に生じない限り *、ミクロだけを知る実利はない。

マクロにあたる熱輸送総量・化学反応による生成物総量などのアウトプットにつなげることが必要である。

  * 気象分野では、ものの破壊につながるような現象が局所的に起こりやすい(局所的な暴風・豪雨)ため、ミクロを知ることの需要が高い。

ミクロがマクロ現象を代表しているかどうか

マクロ現象を知るためにミクロ(瞬間・局所)を測定する場合、そのミクロがマクロ現象を代表しているかどうかが問題になる。

部品間に隙間をもった機械の場合、d2y/dt2 の符号反転時には、接触していた隙間が離れ、部品(局所)が無負荷で隙間幅を移動できるようになるため、ミクロ測定から推測されるマクロ値の信頼度は低い。

危機に普段から備える

危機と科学をテーマにしたアメリカ映画では、「備えを、それが無駄なことだと思える状態において、予めやっておく」のだ。

佐々 淳行 : 平時の指揮官 有事の指揮官―あなたは部下に見られている (文春文庫, 1999) p.34.

 たとえば、日頃平穏無事な時に漫然と時間を空費せず、危機予測をし、起こりうる非常緊急重大事態をいくつかのケースに類別して想定し、それに対応する緊急対策の手順をマニュアル化しておくこと。

参謀本部の重要性

能力を最大限に生かすために、手続きや問題の回避策を用意しておく

危機に真っ先に気づく

天守閣上司 – kokokubeta;

私の恩師(というか元上司)は、入り口の一番近くに座っている。狙いはわからないけど、これは偉いと思う。偉い人は、多くの情報を知らなければいけない立場で、それを集めなければならない立場というのが普通だと思う、それを実現しようとするとこうなる。… [組織内の情報システムを整備するのではなく、入り口の一番近くに座るという] 物理的なしくみっていうのも強い効果を生むのではなかろうか。

Twitter / @takagi1: 群れのボスに必要なのは、危機管理能力。真っ先に逃げおののいたやつがボス。 #fujitv 「トリコ」 2011/4/24 9:25am

小林 隆=著, 自治体議会政策学会=監修 : 情報社会と議会改革 ソーシャルネットが創る自治 (イマジン出版 Copa Books, 2011) p.62.

 全体の危機に個人は気づかないのである。多くの国民は、偶然に与えられた標本空間の中で最適を判断することに忙しく、時間的にも空間的にも狭い範囲で思考し、行動する。しかし、狭い範囲での判断は、時間的にも、空間的にも広い範囲で起こる問題に気づかず。あたかも大災害にあったかのごとく、突然、社会的大混乱に襲われる。

アイザック・アシモフ=著, 岡部 宏之=訳 : ファウンデーション (早川書房, 1984) p.269.

どんな馬鹿でも危機がくれば、わかる。国家に対する真の奉仕はそれが胎児のうちに探知することだ。

スゴ本100: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる ( 初引用: 危機管理マネジメント )

【034】 アポロ13
…本書を通じて学んだ危機管理マネジメントは、次のとおり。

● 「危機」は、すぐに数字にならない。必ずタイムラグが発生している。だから、危険な数値が今出ているということは、既に危機的状況に突入している、ということだ

他部署が大手をふって、協力してくれる仕組みを作れ

いくら長期的にプラスでも、短期的にマイナスが発生する仕事を、営業部署は努力してまで取ってくれな

いだろう。あるいは、そのような仕事には制限をかけるだろう。

短期的に最低でもプラスマイナスゼロにできるような仕組みを作るのが、よい。

他部署が大手をふって、協力してくれる仕組みを作れ。

設計図の誕生

橋本 毅彦 : 描かれた技術 科学のかたち―サイエンス・イコノロジーの世界 (東京大学出版会, 2008) p.61.

設計図、部品の寸法と形状をすべて確定し、製造の現場では設計の判断はもはやなされないような設計図面は、一八世紀のフランスの軍事技術者の間で生み出されるようになる。精密に描かれた設計図が作図され、それに正確に合致するような部品を作ることが製造現場に求められる。正確に図面通りにすることで、同一モデルの二つの製品に対応する部品は互換性をもち、交換できるようになる。

なお、大型機械の最終工程に仕上(除去加工を伴う)が不要になり、最終工程が組立だけになったのは、20世紀後半になってからである。

新製品普及のための5つの条件

槌屋 治紀 : 燃料電池と水素エネルギー 次世代エネルギーの本命に迫る (サイエンス・アイ新書, 2007) p.141.

新製品普及のための5つの条件([米国ニューメキシコ大学教授] ロジャーズ)

(1) 相対的優位性 (リラティブ・アドバンテージ)
 既存のものに比較して有利であること

(2) 互換性 (コンパティビリティ)
 現状から無理なく乗り替えられること

(3) 複雑性 (コンプレキシティ)
 複雑でないこと

(4) 試行可能性 (トライアビリティ)
 すぐに試してみることができること

(5) 視認性 (オブザーバビリティ)
 ほかの人にもその効果が見えること

安全と安定の両立

原発事故をうけて、「安全と安定の両立」という文言が新聞紙上に表れている。

『「安全と安定を両立」しなければならない』ことが顕在化されたことは喜ばしい。

しかし、『いかにして「安全と安定を両立」するのか』。この解を得ることが非常に難しいという認識がもたれなければならないだろう。

安全と安定はトレードオフの関係にある。トレードオフの解決が、両立を可能にする。

しかも、コストに関わる問題であるため、最良の解答が要求される。

複雑なトレードオフ問題を解く手法は、シミュレーションが一般的だが、それにはシミュレーション対象に通じた優秀な頭脳をある程度の期間、投じる必要がある。