設計とは、媒体と反媒体の配置を決める行為である

設計とは、媒体と反媒体の配置を決める行為である。

 ・肉の設計: 肉、即ち、荷重を受け持つ構造は、応力、より正しくは、運動量の媒体である。

 ・通路の設計・隙間の設計: 通路・隙間を埋める流体は、媒体である。通路・隙間の枠は、反媒体である。

 ・筐体の設計: 筐体は、外乱・反〈目的〉な現象に対して反媒体であり、意志・合〈目的〉な現象に対して媒体である。

設計が扱う対象が媒体と反媒体を配置だ、という視点をもてば、設計行為が扱える領域を広く考えることができる。

「しくみの発達博物館」開設のお知らせ、その特徴と背景

少し前になりますが、2013年11月23日、新しいWebサイトの公開を開始しました:

 しくみの発達博物館
 http://takagi1.net/shikumi/

  サイトのメッセージ:

すべての当たり前のモノは、だんだんと発達してきた――人々の願いと賢さ、そして人々の「わたしたちの願いは何だろうか?」「賢くなろう!」「願いを実現しよう!」「賢さを使おう!」という気持ちを支えたモノのおかげで。

本がいっぱいある、インターネットも使える、遠くの人ともやりとりができる、今のわたしたちにできることは、きっと多い。

● 内容:産業博物館(≒技術史博物館)、でもそれだけではない

内容は、一次近似で言えば、産業博物館(≒技術史博物館)です。「しくみの発達博物館」として、〈モノの仕組み〉技術史に合わせて、〈社会が持つ仕組み〉社会制度史も扱っています。

● Webサイトとしての特徴:小学生向け(小学4年生以上)を意識したサイト

私としては初めての小学生向け(小学4年生以上)を意識したサイトです。小学4年生以上で習う漢字にはルビを振り、また画面スクロールなしで見られるようコンテンツを小分けにしました。

小学4年生で習う漢字には、社会人になって頻繁に使う漢字が多いことに気づきました。

 例えば: 械 関 願 器 機 議 験 航 産 史 試 初 選 的 働 博 飛 例 歴

対象を小学4年生以上だとしている根拠は、川喜田 二郎=著『発想法』の 「自分の住んでいる町の歴史的発展を理解するなどのように、時間的にみて鎖状に、前から後へつながる意味での関係認知能力ができるのは、じつに十歳以後であるという」 ですが、(小学4年生が特別ではないのでしょうが) 大事な時期だということが分かります。

● 背景:知性を守護し、増進させる仕組みとしてのWeb博物館

私は、技術史が好きです。

小学5年生のとき、本格的に歴史を学びはじめたときに、鮮烈に感動したのは、縄文土器(火焔土器)の美しさでした。

時を経て、私は、大学・大学院と工学部・工学研究科に属しました。そこで聞いた講演の、工学部学生・出身者は自分を技術史のなかに位置づけるべきだ、という話が琴線に響き、技術史への興味はさらに強まりました。そこで、技術史に関するサイトのブックマークを集めていました。

さらに時を経て 2012年、知性を守護し、増進させる仕組み――精神主義ではなく、仕組み――を作ろうと構想しました。この時に、ある産業博物館のことを思い出したのです。その博物館とは、アメリカ合衆国デトロイトにあるヘンリー・フォード博物館。「ヘンリー・フォード博物館を作ろう」と思ったのです。

大学で受けたある講義において、同博物館は米国の知性の源、だと表されていました。

同博物館では、米国を代表する歴史的知性であるエジソンやライト兄弟に関する展示、また米国を象徴する自動車の展示がされています。しかし、講義で教官が示した理由は、それではありませんでした。

挙げられた理由は、昔の掃除機の展示があること、でした。家電の発展、生活の発展が展示されているのです (参考: Home Arts, Fully Furnished / Home Arts, Fully Furnished 2 )。

つまり、同博物館は、米国における、歴史的な〈人による生産物〉を、産業から生活に至るまで展示しています。私は、同博物館が米国の知性の源である理由を、エジソン・ライト兄弟・自動車を生み出し、支えた、その時代の人々の生活が、明示的に示されている点だと考えました。

この考えを発展させ、作り出されたのが、「しくみの発達博物館」です。

ここに明らかなように、「しくみの発達博物館」は、単なる産業博物館ではありません。

ヘンリー・フォード博物館における産業-生活の軸を、「しくみの発達博物館」では、知性-学術的・経済的・動員的・安全的・健康的基盤という軸に捉え直しました。また、(人類最大の勘違いとも言われますが、)社会・人間は漸進的に進歩するという思想を織り込んでいます。

制作・運営に関する思想の詳細は、「しくみの発達博物館」について に載せています。

4つの設計

肉の設計は、反力受けのためにされる。

 (反力を発生させて、位置を保持する)

通路の設計は、流体の移動のためにされる。

 (流体そのものの移動、圧力の急速な均一化、排熱など)

隙間の設計は、相対運動や、流体圧力の利用のためにされる。

 (お互いに寸法公差、熱膨張、変形がある品物同士の運転時・組立て時の相対運動、良好な潤滑。
 圧力導入による張り力・自己シール性の発生、圧力バランスによる駆動力の軽減)

筐体の設計は、外界との良い接触のためにされる。

 (全体が移動する際の空気抵抗の軽減、内部への侵入防止、メンテナンス時のアクセス性の良さ、操作・監視箇所の明示、見栄えの良さ)

状態量、示量性と示強性

状態量 : 経路に依らない。

示量性と示強性は、状態量の分類の一つである。これによって、状態量は、示量変数(extensive variable)と示強変数(intensive variable)の2種類に分けられる。

  示量性: 系の大きさ、体積、質量に比例すること。
  示強性: 示量性を持たないこと。

全体を示すこと

「全体を示すこと」の重要性は、新幹線のデッキに貼られている時刻表を見ればわかる。

A2サイズ? の紙 1枚に、東海道山陽(・九州 ?)新幹線の全駅・全列車の時刻が書かれている様(さま)は、何駅・何本あるか分からない新幹線の運行が紙1枚に表せることで、見る者に安心感を持たせる。

技術が無臭になっていく

技術が無臭になっていく。

最近の阪急電鉄 神戸線・宝塚線では、節電のためか、最新の9000系車両が活躍をしている。

そのなかで、神戸線において、8000系車両に乗った。駅を出発する時に、制御に用いられている GTO-VVVFインバータ 由来の磁励音(磁歪音)が響きわたる。

対して、9000系車両は静かだ。今度登場する1000系車両は、さらに静かなのだろう。

電気機器が発する音は不要である。それが無くなっていく。少なくとも、一般人がそれを聞くことはなくなっていく。技術が無臭になっていく。

技術が無臭化について、より一般的な例を示そう:

原動機が発生できるトルクと回転数は、原動機の種類・型式によって異なる。たとえば、電動機は、一般に、小さすぎるトルクと大きすぎる回転数をもつ。

また、回転機器が必要とするトルクと回転数も、機器の種類・型式によって異なる。

原動機と回転機器の両者共に最適な条件での組み合わせできない場合には、さまざまな工夫がなされてきた。工夫は、機械全体の効率を高める。しかし、そもそも工夫が必要だということは最適ではなく、したがって、高められた効率といっても、それは最適な効率から劣っている。即ち、臭いだ。

今日、電動機とインバータを用いることによって、両者共に最適に近い条件での組み合わせが比較的容易にできるようになった。技術が無臭になっていく。

オイルショック40年

戦後○○年というのは《戦争の記憶》の忘却度合いを表わす数字であると同時に、中小企業の年齢であり、その創業者が現役である残存具合を表わす数字であった。有名な企業では、(中小企業ではないが)ソニーが1946年に操業している。

さて、今年は、オイルショック40年にあたる。オイルショック前の高度経済成長期に創業した企業は、創業 40+α年を迎えている。

創業時に25歳だった、経営者あるいは若手工員は、現在、65+α歳。そろそろ引退を考える時期である。熟練の術・技を磨き蓄えてきた先人たちが、引退するのである。