「他者に向ける」思想に基づいた組織を思考してみる。
ただし、組織構成員が各々に自助思想を発動させていなければならない。
「他者に向ける」思想として、以下の(1)(2)を示す。(1)(2)によって面(2次元)を形成できる。(1)は垂直的、(2)は個-個関係であり横軸である。
(1) 「日本を救いたければ、世界を救え」
北澤宏一氏が著した「科学技術は日本を救うのか」の結論として、小飼弾氏が挙げた言葉である。この言葉は、自分・自組織に集中・狭窄した視野を見開かせることに役立つ。この言葉には、どのように見開くべきかを示唆するところに高い価値がある。
即ち、理に通じた欲を持って、自組織外の個別認識できる複数の他者に貢献するのである。
「日本を救う」という、理に通じた生存欲が、まずある。そのために救う「世界」である。「世界」として、直接に相手にするのは、個別認識できる複数の他者である。
先に、垂直「的」関係と書いたのはこのためだ。垂直関係ではなく、斜め上の関係である。すなわち、世界という単一体を考慮しない。「一と全」という言い古された言葉に置き換えれば、全という単一体を考慮しない、即ち、直接に相手にしない(「敬してこれを遠ざく」—論語・雍也第六)。
理に通じた欲に話を戻そう。
個人が持つ、理に通じた欲は、公欲と呼ばれる。対する概念は、私欲である。「意味のないことに対して(それをしないように)緊張感をもって生きる」と言う場合、「意味のないこと」をしようとする欲は、私欲である。
道義ではない、理に通じた欲によって、自組織外の複数の他者に貢献するのである。
(2) 渦は自らを回転させず、他を回転させる
故に、担当には複数人を充てるべきである。お互いに同じ担当の他者を刺激し、行動させるのである。
「1.5R」の思想は、自分による行動を意図するが、これは他者による行動を意図する。