「人類補完計画」への現回答

一説によれば、本日 2015年12月31日は、「新世紀エヴァンゲリオン」において「人類補完計画」が発動された日です:

エヴァンゲリオンがさらにわかる動画:旧【最終調整版】 – YouTube

● 「人類補完計画」から想起される課題

「人類補完計画」とは、「できそこないの群体としてすでに行き詰まった人類を完全な単体としての生物へと人工進化させる補完計画」です。

ここには 2つの思想が内包されています:

(1) 人類を〈一つの存在〉だと見る視点の思想、

(2) 人類を単体にする、すなわち意思を連結する思想 です。

(2)は、 「コードギアスR2」・「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」など他の作品でも描かれています

フィクションだからと侮ってはいけません。芸術には予言能力があると言われています。

「人類補完計画」から想起される現実的な課題は、

(1-A) 人類、あるいはその部分集合(すなわち、集団)を、〈一つの存在〉だと見る視点に立った上で

(2-A) 意思を、どのような形態・方法・思想のもと、連結すると良いのか

ということです。

● 私の現時点での回答

私は、(1-A)の向上に関心をもち(人類圏における、情報の活用による、人類あるいは他の何かの向上)、
(2-A)に関して、 4つエンジンの日本にしよう――知性強靱社会の実現のために を書きました。

● 人類あるいは集団の意思の一例: 集合無意識

(1-A)の〈一つの存在〉がもつ意思のひとつには、 「コードギアスR2」・「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」において、連結される意思・連結された意思として描かれた、“集合無意識”があります。

“集合無意識”は、真・善・美 の総合評価が高い判断をしようとしますが、非合理な判断をしてしまうことが多々あります。善・美は、評価が難しいのですが、善に関しては、殺人は悪であるという評価基準が広く受入れられています *。

“集合無意識”は、短期的な視点に立った判断をしめすことが多いですが、生存が善であるため、人類の生存を担保する傾向にあります。

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● 人類あるいは集団の意思の一例: 科学

(1-A)の〈一つの存在〉がもつ意思には、科学もあります。

科学は、真の度合いが高い判断をしようとします。科学は、長期的に、真の高みを目指した歩みです。

中期的には、誤った山に登ることもあります。一から別の山・別のルートを探して登りなおすこともあります(ルネ・デカルト「我思う、ゆえに我あり」――『方法序説』ダフィット・ヒルベルトヒルベルト計画、など)。登山隊の全滅もあり得ます(文明の衰退)。

補足:
* 殺人は悪であるが、「人」の範囲については、いろいろな考え方がある。