忖度という言葉が、その危険性を意識させずに多用されることは、危険である

忖度(そんたく)。

忖度(ソンタク)とは – コトバンク

デジタル大辞泉の解説

[名](スル)他人の心をおしはかること。「相手の真意を忖度する」

大辞林 第三版の解説

( 名 ) スル
〔「忖」も「度」もはかる意〕
他人の気持ちをおしはかること。推察。 「相手の心中を-する」

「忖度」という言葉を、私は、知能工学・デザイン論の分野で使用してきた。

例えば、「ロボットに求められる知能は人の意思を忖度して仕事のできる機能」エレベーターでは、降りる人の意思を、乗る人がわかりにくい (意志を忖度しづらい)

そもそも、一般的には使われない言葉である。

しかし、昨今、森友学園問題で、使われる頻度が増えている。

森友学園問題で気になるワード「忖度(そんたく)」が話題 – NAVER まとめ

忖度は、間違う危険がある。慎重に取り扱うべき行為である。

忖度という言葉が、その危険性を意識させずに多用されることは、危険である。

なぜならば、実体を伴わない言葉が、それに対する批判がない中で、凝固する。忖度という言葉の多用が、自分による忖度と他者による忖度を当然だと認識させ、忖度への慎重さを欠かせることが、危険なのだ。忖度を、期待の対象にしてはならない。

繰り返しになるが、忖度は間違う危険がある。その機序(メカニズム)については、下記を参照のこと:

刺激等価性――「空気」の本質。感情移入と非論理をつなげるもの

図書館戦争ドラマに、人の脳の性質を整理する

感情移入。「空気」と「バカと暇人のウェブ」をつなぐ

感情移入への対策は、理由を求めること である。

しかし、何よりも、慎重であることだ。確認を絶やしてはならない。

1945年 4月 7日(土曜日)

4月7日。

戦艦大和撃沈と、鈴木貫太郎内閣成立は、同日、昭和20年(1945年) 4月 7日(土曜日)。

戦艦大和:
辺見じゅん「男たちの大和」 | 無窮ナレッジ 電子書架

鈴木貫太郎内閣:
「日本のいちばん長い日」(2015)鑑賞メモ
創造力は無限ではない、貴重である。そして重要である

初出:
Facebook 2017/ 4/ 6

不安だ

先日、電車の中で耳にした会話(日本人)は、会話の片方が、日本の歴史に詳しい口ぶりなんだけれど、いろいろ間違えていて、例えば、飛鳥時代と奈良時代がごっちゃになっていたり、鎌倉時代と室町時代がごっちゃになっていたりしていた。不安だ。

初出:
Facebook 2017/ 3/ 4

関連:

不確実性の極力排除と、明確なる出口

『幼女戦記 第12話』から想起:

前提を誤ると、解答は正解ではない。そして、前提は明確ではない(シュレディンガーの猫の生死は決まらない)。

故に、前提に関する不確実性を極力排除しなければならないとともに、出口(そして出口は静的な正解ではなく、相互作用のある動的世界である)を必ず用意しなければならない(補足:戦闘は、やめ時が重要であるが、その視点は戦闘ではなく出口にあるべきである)。

リスクとプロフィット」は、上記のように展開できる。

初出:
Facebook 2017/ 4/ 1

「よい未来を実現するには、どうしたらよいか」スピーチ原稿 Rev.0

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「雄弁無き知識は国にとって ほとんど役に立たなかった」―― キケロ (紀元前106年~紀元前43年)

【Rev.0】

こんにちは。きょうは、「よい未来を実現するには、どうしたらよいか」について話をしたく思います。

社会、たとえば国・地域・企業・家族において、自分が少しでも経営に参画していると自覚している人も、自覚していない人も、実際は、少しは経営に参画しています。

コンビニでパンを買う際に、A社のあんパンを買うか、B社のあんパンを買うか。あなたは、A社のあんパンを選ぶとする。A社は利益を得、新たなパン工場を作ったり、もっとおいしいあんパンを開発するかもしれない。反対に選ばれなかったB社は、A社に負けじとあんパンの改良に取り組んだり、あんパンではなくクリームパンの生産に力をいれるかもしれない。

あなたは、社会の経営に参画しているのです。

そこで「よい未来を実現するには、どうしたらよいか」です。

私の答えは、この2つです:

 (1) 問題に対し、よい解決をすること ――〈解決のよさ〉と〈解決をすること〉の両方が必要である。

 (2) よい未来への関心が高くあること、及び 未来に現在から関与すること(行為をすること)。

1点目。問題に対し、よい解決をすること。〈解決のよさ〉と〈解決をすること〉の両方が必要である。

そのために私は 3つの視点を紹介します。心・技・体です。

心。解決をしようとする心です。解決のためのアイデアを思いつく心、それを臆せず、実行しようとする心です。大阪府池田市にある市営動物園、五月山動物園では、2年前、オーストラリアから動物を迎え入れるために、専属のアイドルグループを結成しました。彼女たちの活動が大きな力になって、ふるさと納税も相まって、今年秋、オーストラリアから動物を迎えられる予定です。

技。解決のよくする技です。

我が国には、解決に失敗した大きな経験があります。先の大戦です。先の大戦に対しては、様々なご意見をお持ちだと思いますが、解決の失敗がなかった、という考えをされる方は、少ないと思います。

解決は失敗することがよくあるのです。だから、よい解決をするためには、対策が必要です。

Give & take で分けると、

Give側は、解決者に、解決するための時間や知識・注意点を、提供しなければなりません。

Take側である解決者は、解決するための時間をつくり、知識・注意点を集めなければなりません。

体。解決をするための仕組みです。

 安全・安心系統
 衣食住・エネルギーの供給系統
 公衆衛生・医療系統
 産業
 情報インフラ
 学校制度
 図書館制度、思想及び表現の自由を保障する系統

などが有りますが、人が交わる仕組みである交通(モビリティー)も、あります。解決をするために、人が交わることが果たす役割は大きいです。

地域と地域の間を近づける高速交通も、地域のなかをつなぐ公共交通も重要です。また、クリーンエネルギーや再生可能エネルギーを、便利に交通に使う水素燃料電池自動車への取り組みも、これに入ります。

ここで、振り返りましょう。「よい未来を実現するには、どうしたらよいか」という問いに対する私の答えは、

 (1) 問題に対し、よい解決をすること ――〈解決のよさ〉と〈解決をすること〉の両方が必要である。

 (2) よい未来への関心が高くあること、及び 未来に現在から関与すること(行為をすること)。

です。問題に対し、よい解決をすること、が、以上に説明した、心・技・体でした。

2点目。よい未来への関心が高くあること、及び 未来に現在から関与すること(行為をすること)。

これに関して、ともすれば私たちは、新しく世に出るものに対して、その突飛さから、否定的な感情を抱くことがあります。

しかし、現在世の中に当たり前のようにある良いもの、例えば、スマートフォンや民主主義も、新しく世に出るものも同じです。

これらは、「ポッと出」でも、「独りで」に生み出されてきたものでもないのです。

つまり、ごく少数のアイデアによるものでも、人の労力なく旧態のままから生み出されたものでもないのです。多くの人の叡智と苦心と社会基盤から、だんだんと生み出されてきたものなのです。

そう考えて、新しく世に出るものに向き合うと、その突飛さは、理由と物語があるかわいい特徴に見えてきます。よい未来への関心が高くなります。

現在のものでも、新しいものでも、いくらかわいくても、良くないものには反対を表明すべきです。しかし、良いものに賛成を表明することを忘れないでいましょう。よりよくするアイデアがあったら、表明しましょう。メーカーが改良してくれないなら、改良するための部品の3Dプリンタ用のデータを公開するという手だって、今の世の中にはあるのです。

そうして、未来に、現在から関与しましょう。

以上で、「よい未来を実現する」お話を終わります。ありがとうございました。

関連:
よい未来を実現するには

少年よ、神話になれ

庵野 秀明 作品「シン・ゴジラ」ブルーレイ・DVDが、発売された。

『少年よ、神話になれ』

庵野 秀明 作品「新世紀エヴァンゲリオン」に感化された少年(・少女)たちは、今、社会人中堅になり、ある程度お金を自由に使えるようになり、また技術を使えるようになっている。

彼ら・彼女らが、〈我が国に関する復習と、国難克服の〉「神話」=「シン・ゴジラ」を経済的に支え、伝道し、真に神話にする。そして、神話の伝道者は、神話の一部になるのだ。

「シン・ゴジラ」に関しては、2016年11月3日から26日にかけてTwitter上で“シン・ゴジラ リアルタイム実況”が行われた。ここでは、劇中と同日・同時刻に、劇の世界の自分ならばどのようなツイートをするかの投稿が、不特定多数により行われた。参加した人は、Twitter上に劇を多面的に再生した。これは、それに参加していない人にも、少なからず影響を与えた。

虚構から現実へ… シンゴジ実況 は時代が『宇宙戦争』から一周したことを知らせる記念すべき鐘だ | ORIVERcinema

「新世紀エヴァンゲリオン」に関しては、東日本大震災の翌日(2011/ 3/12)、午後6時台に首都圏での電力不足が懸念された際に、リアル「ヤシマ作戦」として節電活動が広く行われた。「ヤシマ作戦」とは、作品中において、日本中を停電させて得られる莫大な電力をひとつの目的のために使う作戦である。「ヤシマ作戦」という概念が、神話レベルに広く知られていたこそ、迅速に(所要時間は 6時間程度であったろう)節電活動が広がり、実施されたのだ。

節電徹底へ「ヤシマ作戦」賛同者がTwitterで広がる – ITmedia NEWS


初出:
Facebook 2017/ 3/22

「教育勅語」が日本人・日本語の形成にもたらした役割

「教育勅語 (教育ニ関スル勅語)」(1890年=明治23年)の、日本人・日本語の形成にもたらした役割は大きいと考える。

当時は、対外戦争として国民意識が高まる日清戦争以前である。藩に分かれていた日本がひとつの国として国民に認識されるためには、国民すべてが声に出せるテキストが有効であった。

「国家は自然なものではない」(水村 美苗 : 日本語が亡びるとき (筑摩書房, 2008) p.108.)。そして、社会的存在である人間らしさは、不自然さを必ず持つ。

日本語の形成といえば、司馬遼太郎は「坂の上の雲」において、日露戦争終戦後の「聯合艦隊解散之辞」(1905年)をその文脈に捉えたが、国民すべてが声に出せるテキストとして「教育勅語」が与えた役割のほうが大きいと考える。

初出:
Facebook 2017/ 3/14

「聯合艦隊解散之辞」と日本語

司馬 遼太郎 : 坂の上の雲 8 (文春文庫, 1999) pp.288-289.

余談ながら明治期に入っての文章日本語は、日本そのものの国家と社会が一変しただけでなく、外来思想の導入にともなってはなはだしく混乱した。

 その混乱が明治三十年代に入っていくらかの型に整備されてゆくについては規範となるべき天才的な文章を必要とした。漱石も子規もその規範になったひとびとだが、かれらは表現力のある文章語を創るためにほとんど独創的な(江戸期に類例をもとめにくいという意味で)作業をした。

 真之の文章も、この時期でのそういう規範の役目をしたというべきであったろう。かれは報告文においてさかんに造語した。せざるをえなかったのは文章日本語が共通のものとして確立されていなかったことにもよる。その言いまわしもかれ自身が工夫せざるをえなかった。そういう意味で、かれの文章がもっとも光彩を放ったのは「連合艦隊解散ノ辞」である。

聯合艦隊解散之辞 – Wikipedia