Fake video

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村上 龍 : 愛と幻想のファシズム 下 (講談社文庫, 1990) p.479.

洞木はブリーフケースからビデオテープを取り出し、部屋に設置されていたデッキにセットした。スイッチを入れると、阿孔経済大臣が映った。やあこれはわたしの自宅だ、いつ撮ったものですか? そう言って笑いながら阿孔は見ていたが、突然顔色を変えた。モニターに映る自分が、舌をペロリと出して、「ファック・ユー」と喋ったからだ。
「これは、わたしではない」
 阿孔の唇は震えていた。写真と音声テープからコンピューター合成したものです、洞木はそう説明した。

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