鉱山化

鉱脈が見つかっても、開発して鉱山にして、はじめて利益をもって鉱石が手に入る。

鉱山化は本質的に重要である。

例1: ビジネスモデル

鉱山の例のひとつは、ビジネスモデルである。眠れる価値(ビジネスモデルなしでは、活用されない、あるいはお金にならずに使用される価値)をお金にする。 ビジネスモデルのおかげで、能力ある者が、金を稼ぎ、金を使い、人々が食っていける。

例2: 肥料

原始以来、落ち葉・糞尿から肥料が作成された。落ち葉・糞尿が肥料に変わる仕組みが「鉱山」である。

肥料の成分が化学的に解明され、リン鉱石から化学肥料が製造された。リン鉱石から肥料に変わる仕組みが「鉱山」である。

さらに、大気中の窒素ガスから化学肥料が製造された。エネルギーと空気が肥料に変わる仕組みが「鉱山」である。

例3: エネルギー

原始以来、木材からエネルギーが得られた。山がエネルギーに変わる仕組みが「鉱山」である。

石炭・石油などの化石燃料が掘り出されエネルギーが得られた。岩盤・砂漠がエネルギーに変わる仕組みが「鉱山」である。

さらに、今、水素をエネルギー媒体に利用する大規模な取り組みが始まっている。さまざまな今まで利用できなかったエネルギーを、水・水素を介して利用する仕組みが「鉱山」である。

補足:
肥料とエネルギーは、共に、

 再生可能資源を用いた「鉱山」
    ↓
 化石資源を用いた「鉱山」
    ↓
 容易獲得物質を用いた「鉱山」

という歴史を歩み、或いは歩みつつある

水素エネルギーとハーバー・ボッシュ法、技術決定論と唯物史観

要点:
肥料とエネルギーは、再生可能資源から化石資源へ、化石資源から容易獲得物質へ、という歴史を歩み、或いは歩みつつある。

エネルギーにおいて、容易獲得資源とは水(エネルギー媒体としては水素)である。

これらは、生産力に関する新たな革新である。それを実現する、生産力に関する新たな技術は、唯物史観によれば、技術決定論の文脈に語られる技術のなかで最も影響力が大きい。

1.水素エネルギーとハーバー・ボッシュ法

水素エネルギーの実用化は、大気中の窒素から肥料を作るハーバー・ボッシュ法の実用化(1912年)に似ている。

人類は、木材・木炭などの再生可能エネルギーから、石炭・石油などの化石燃料に転換することで、滅亡を免れた。

例えば、昔の製鉄には木炭が使われていたが、製鉄のための森林伐採による森林の減少が問題化した。行きすぎた森林伐採による鉄の生産量の急激な減少は、人類を窮地に立たせたであろう。人類を食わせているのは、鉄製の機械や道具が重要な役割を果たす人類社会であり、鉄の生産量の急激な減少は、それを維持できなくするからである。

ヒトが人として生きるためには、外部から食糧以外のエネルギーの供給が必要である(人類はその誕生の瞬間からして、その存在を外部エネルギー源に依存している)。現在の、人類人口を支えているのは、化石燃料や原子力である。さらに言えば、大人口が生存する前提である政治の安定も、高エネルギー消費によって実現されてきた

地球上に溢れた資源から肥料を作り出した、ハーバー・ボッシュ法の実用化にあたる、エネルギー界での出来事は、水素エネルギーの実用化であろう。

もちろん、水素エネルギーは、電気と同じ二次エネルギーである。水素を作るためには、他のエネルギー源(一次エネルギー)が必要である。しかし、いままで使えなかった一次エネルギーを水素の形態で使えるようになることの意味は大きい。鉱脈が見つかっても、開発して鉱山にしてこそ、はじめて利益をもって鉱石が手に入る。水素エネルギーの実用化は、鉱脈(:いままで使えなかった一次エネルギー)だけがある状態を、それを利用できる鉱山がある状態にする

2.技術決定論と唯物史観

ハーバー・ボッシュ法の実用化が人口の急増を起こしたように、水素エネルギーの実用化は、人類に繁栄と変化をもたらすだろう。

水素エネルギーの実用化は、生産力に直結する。生産とは、すなわちエネルギーの消費であるからだ。生産力に関する新たな状況は、唯物史観によれば、経済のみならず、文化などを含む社会全体の改革を引き起こす。生産力に関する新たな技術は、技術決定論の文脈に語られる技術のなかでも最も影響力が大きいと考えられる。

下部構造 – Wikipedia [2015年2月1日 (日) 16:26 の版]

唯物史観では、歴史を動かす基本的な動力は生産力と生産諸関係との矛盾にあるものと考えられた。すなわち、ある時代の生産力は、その時代の生産諸関係を規定し、何らかの要因で生産力が向上し、生産諸関係との間に矛盾が生じると、社会革命の時期が始まり、経済的基礎の変化と共に巨大な上部構造全体が徐々にあるいは急激に変革されると考えられたのである。

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