人類はその誕生の瞬間からして、その存在を外部エネルギー源に依存している

人類はその誕生の瞬間からして、その存在を外部エネルギー源に依存している
石井 彰 : エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版, 2011) pp.38-40, 54.

「人類はその誕生の瞬間からして、その存在を外部エネルギー源に依存している」と述べたが、この点については、ハーヴァード大学の自然人類学者リチャード・ランガムの次のような仮説による *1。

 動物学的に見て、人類、すなわちホモ・エレクタス以降ホモ・サピエンス(現生人類)までのホモ属をほかの動物全体と比べた場合、その身体的特徴は、消化のための口腔、顎、小腸・大腸、肝臓等の消化器官が相対的に小さく、逆に体の中で、重量当たりで最もエネルギーを必要とする脳が相対的に非常に大きいことである。

 つまり、加熱調理を始めたホモ・エレクタスは、火という外部エネルギー源を道具として利用することによって、消化器官の負担軽減、縮小が可能となり、その余裕で脳の大型化が初めて可能となった。ランガムは、この加熱調理による消化の大きな効率化と、その果実としての脳の大型化が相互作用して、加速度的に人類の身体的な進化が促進されたとしている。

注 1 リチャード・ランガム『火の賜物』NTT出版、二〇一〇年。

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