これを見ると、航空において操縦・制御がいかに重要かが分かります。
飛行機の開発において、ライト兄弟が採った方針は、不安定だけれど、だがそれ故に操縦しやすい機体でした。そして、グライダーで操縦術を修得してから、動力飛行の実験に取り組んだのです。
グライダーといえば、リリエンタールがいますね。リリエンタールは、グライダーで飛びまくりました *。
操縦者の重心移動により操縦する当時のグライダーには、大きな欠陥がありました。操縦者が反射的に体を動かすと姿勢を崩し墜落するのです。
人は高いところから落ちる時に、反射的に脚を地面に向けます。しかし、グライダーが正面から見て傾いた(ロール・ヨー・ピッチでいう、ロール回転)ときに、脚を地面に向けると、傾きはさらに大きくなり、墜落に至ります。脚は地面から離れた方向に向けるべきなのです。でも、人にはそれができないのです。
* リリエンタールは、グライダーでの飛行だけでなく、翼の実験装置を自ら作って研究もしています。リリエンタールの実験結果は、その後の飛行機開発者に使われました。もちろん、ライト兄弟にも (ただ、使い方を間違えて、少し遠回りをしました)。
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飛行機を誕生させた5人
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佐貫 亦男「不安定からの発想」
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ジョン・D. アンダーソン=著, 織田 剛=訳「空気力学の歴史」
http://homepage2.nifty.com/mukyu/books/booknet/blog-entry-2830.html
最相 葉月, 瀬名 秀明「未来への周遊券」
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( http://nhm.blog75.fc2.com/blog-entry-568.html )
>沖縄で飛んだとき、あるパイロットに助言された。決して直感で操縦してはいけない。飛行機は物理学によって飛ぶ。
静安定緩和
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