大日本帝国憲法がもつ物語

大日本帝國憲法には、憲法の条項以外に、「告文」・「憲法發布勅語」・「上諭」がある。(「上諭」は、日本国憲法にも附されている *1)

私は、大日本帝国憲法のそれらに物語が描かれている、と考えた。

大日本帝國憲法 (告文・憲法發布勅語・上諭・条項)

告文:
豐葦原 帝国憲法を読んでみよう① 御告文
大日本国憲法の告文の意味大日本国憲法の告文の意味を… – Yahoo!知恵袋

憲法發布勅語:
豐葦原 帝国憲法を読んでみよう② 憲法発布勅語

上諭:
豐葦原 帝国憲法を読んでみよう③ 帝国憲法上諭

告文は、(明治)天皇の、皇祖皇宗(:天照大神など天皇の先祖、及び歴代天皇)に対する、憲法制定と憲法遵守の誓いである。

そして、

惟フニ此レ皆
皇祖
皇宗ノ後裔ニ貽シタマヘル統治ノ洪範ヲ紹述スルニ外ナラス

(:惟ふに此れ皆、皇祖皇宗の後裔に貽したまへる統治の洪範を、紹述するに外ならす。)

憲法は、皇祖皇宗が育んできた知識を明文化したものだとしている。

大日本国憲法下での日本は、皇祖皇宗との連続性が明文化されていたのである(そして、日本国憲法はそれに連続 *1 し、日本国は日本国たるのである)。

憲法發布勅語は、日本国民(臣民)に対するおことばである。

そして、

惟フニ我カ祖我カ宗ハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝國ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ

(:惟ふに、我か祖我か宗は、我か臣民祖先の協力輔翼に倚り、我か帝国を肇造し、以て無窮に垂れたり。)

古来からの天皇と国民の関係が表わされ、これが国をつくってきたことが述べられている。

上諭では、天皇が憲法を守り、将来の天皇・現在の国民・将来の国民に、憲法を守らせることを表わしている。

以上から、大日本帝国憲法の告文・憲法發布勅語・上諭から、以下の物語 *2 を読み取った:

日本国は、古来より、天皇と国民の関係によって発展してきた。

この度、日本国の体制は、成文憲法により、目に見えるかたちになる。憲法発布以後は、血を引き継ぐ天皇に加えて、知を引き継ぐ憲法がある。日本国は二者体制(天皇と国民)から三者体制(憲法と天皇と国民)になる。この新たな憲法は異質なものでなく、皇祖皇宗の知識を明文化したものである。

日本国は、日本国由来の要素により、目に見えるかたちの、これまでよりも高度な国になる。

補足:
*1 日本國憲法 上諭:

朕は、日本國民の總意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、樞密顧問の諮詢及び帝國憲法第七十三條による帝國議會の議決を經た帝國憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名 御璽
昭和二十一年十一月三日

(以下、内閣総理大臣及び国務大臣の副署が続く)

*2 そして物語(ストーリー)という強力な手段が、国家にとって有効に、はたらく:
国において、国民意識が国歌・国旗・国章や行政サービスなど様々な仕掛けによって醸成されている
ストーリー主義
物語は資産である