速度の2乗に比例する空気抵抗を持つ放物運動の解析解は、無い

速度の2乗に比例する空気抵抗を持つ放物運動の解析解は、無い。


2:24~

放物運動

[F] 速度の2乗に比例する空気抵抗を持つ放物運動
解析解の有無: ×

軌道が書ける求積法による解析解は存在しない。
ホドグラフ解は知られている。

[F] 速度の2乗に比例する空気抵抗を持つの放物運動(運動方程式)

[F-1] 求積法による解
 速度の2乗に比例する空気抵抗を持つ放物運動の軌道を描くことができる解析解を求積法で求めることはできない[2]。つまり初等力学の未解決問題の1つである。

[F-2] ホドグラフの解
 速度の大きさとその水平からの角度の関係を表すホドグラフの厳密解は存在する。ただし、軌道を描くためのx,y,tを求めるための積分を解析的に実行することはできない。最近ホドグラフ解を解説した教科書は少ない。参考文献[4]がくわしい。ホドグラフ法の解は1711年にベルヌーイにより見出されたという情報もある。式で説明

[F-3]数値解
 ルンゲ・クッタ法など簡単な数値計算法で数値解を求めることは簡単である。

[F-4]微小投射角近似解
 投射角が微小のときに成立し、高精度な解である。摂動法から作られている。y=f(x)の形に解が整理されていて便利である。誰が最初の理論を作ったのか不明だが、少なくとも1923年時点で知られていて参考文献[5]に詳しく解説されている。読者の方でご存知の方は情報を教えていただける助かます。投射角が小さいときの解なので時間が経ち、水平からの角度が大きくなると誤差が大きくなる。式で説明

[F-5]Parkerの解(1977)[6]
 short time近似解は上記微小投射近似解と同じものであり、long time近似解が示してある。これは物体の角度が水平から90度近くになったときの解である。どちらも摂動法により求められている。式で解説

[F-6]坪井の解(1996)[7]
 この解は投射角が小さいものとし、かつ空気抵抗と質量の比が小さいとし摂動法を適用している。Parkerの解とは別の解を与えている。文献[8]もあげておく。式で解説

[F-7]Chudinovの解(2001-2004)[9][10][11][12]
 ホドグラフ解を発展させている。投射角の制限はない。軌道がy=f(x)の形で与えられ、最大到達距離が最大の投射角、そのときの最大高さやそのxも位置などが求まり、解として理想的である。ただし、数値積分を行う必要があり、数値解の1つであると解釈できる[13]。

[F-8]級数解
 投射角に因らない摂動法による級数解(形式解)をつくることはできるが、この解はわずかな時間で有効な解で投射してすぐに発散する。解析解は、その解の形をみればその解の性質が分かるところが利点の1つであるが、級数解(解析解の1つ)からそのような解の性質を見出すことはできない。式で解説

[F-9]ホモトピー解析法による解
 本ウェブページの作者らは2007年、ホモトピー解析法を用いてすぐに発散する級数解の延長を試み、物体が投射後地面に着くまでの軌道を求めることができた[14]。この解には投射角の制限はない。しかしながらその解はべき級数解であり、解の観察から解の性質を見出すことは難しい。また、その解は延長されているが、べき級数解であるので有限の時間の解であり、いつかは解は発散する。

[2] 原島鮮 : 力学I, 裳華房, 1973

[3] 藤原邦男 : 物理学序論としての力学, 東京大学出版会, 1984

[4] 後藤憲一, 詳解力学演習, 共立出版

[5] Lamb H : Dynamics (London: Cambridge University Press) p 294 ,1923

[6] Parker G W : Projectile motion with air resistance quadratic in the speed American Journal of Physics 45 606, 1977

[7] Tsuboi K : On the optimum angle of takeoff in long jump Trans. Japan Soc. Ind. Appl. Math. 6 393, 1996

[8] 坪井一洋 : 着地時の重心低下を考慮した走り高跳びの最適踏切角、日本機械学会論文集C 743 , 1841, 2008

[9] Chudinov P S : The motion of a point mass in a medium with a square law of drag, Journal of Applied Mathematics and Mechanics, 65, 3, 421-426, 2001

[10] Chudinov P S : The Motion of a Heavy Particle in a Medium with Quadratic Force, International Journal of Nonlinear Sciences and Numerical Simulation 3 2 121-129, 2002

[11] Chudinov P S : An optimal angle of launching a point mass in a medium with quadratic drag force, Indian J. Phys. 77B (4), 465-468, 2003

[12] Chudinov P S : Analytical investigation of point mass motion in midair, Eur. J. Phys., vol. 25, 73-79, 2004

[13] http://leonhard.cocolog-nifty.com/eulerian/2008/05/chudinov_6c20.html

[14] Kazuki Yabushita, Mariko Yamashita and Kazuhiro Tsuboi : An analytic solution of projectile motion with the quadratic resistance law using the homotopy analysis method, Journal of Physics A Mathematical and Theoretical, 40, 8403-8416, 2007

ブログのデザインを変更しました

2018/11/13、本ブログのデザイン(WordPressの「テーマ」)を変更しました。

スマートフォンなどのモバイル機器での表示性を高める目的です。

これまでトップに表示していた画像を、ここに載せておきます。

大学の実習で製作したバイスです。

Vise

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メカニック、鍛冶屋、レンチが似合うアニメ女性キャラクター

サクラ大戦」の 李紅蘭

ああっ女神さまっ」の スクルド

鋼の錬金術師」 の ウィンリィ・ロックベル

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」 の メイ

ドラゴンボール」 の ブルマ

新世紀エヴァンゲリオン」 の 赤木リツコ

ソードアート・オンライン」 の リズベット

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」 の チェーン・アギ

問題を解決したら もっといい全体解が実現される

問題を解決したら もっといい全体解が実現される例:

松平精の新幹線台車開発の回顧

当時の車両の振動は、現在の車両にくらべると数倍の大きさであって、特に電車の振動はすこぶる大きく、その乗り心地は極めて悪いものであった。従ってこのような電車を長距離列車にすることは思いもよらぬことであった。

 ところが当時工作局動力車課長であった島秀雄氏はそのころから電車列車論者で、その持論を実現するためには、電車の振動を徹底的に改善する必要があるとし、その要望を筆者に依頼されたのである。

機械と一般市民

1850年代まで、ヨーロッパでは、機械と一般市民は隔てられていた。

トレイン・シェッド – Wikipedia (2017年7月21日 (金) 22:04 の版) 抜粋

トレイン・シェッド(英語: train shed)は、鉄道の駅においてプラットホームと線路を同時に覆う大きな屋根である。

19世紀のヨーロッパでトレイン・シェッドが生まれた背景には、都市とその外の田園を区別する当時の意識がある。蒸気機関を用いた鉄道はもともと鉱山で用いられていたものであり、田園の側に属するものである。それが都市間の交通機関へと発展しても、そのまま都市の内部に受け入れることには抵抗があった。そこで列車の発着する場所をトレイン・シェッドで覆い、さらにその前面に駅舎を建てて市街地に対する顔としたのである[13]。駅舎は新たな工業製品である鉄道に対する抵抗感を和らげるため、あえて古典的な意匠が採用されている。このため、当時の駅は「半分工場、半分宮殿(mi-usine, mi-palais)」と呼ばれる二面性を持つことになる[39]。

鉄道を利用する旅客はまず駅舎内の待合室に案内され、列車の発車直前になってからトレイン・シェッド内のプラットホームに導かれた。19世紀半ばまで、一般の市民がこうした段階を踏まずに工業的機械である鉄道に接することは難しいと思われていたのである。しかし1860年代になると、駅の入口とトレイン・シェッドを待合室を経ずに結びつけるコンコースが現れ、都市と鉄道の距離が縮まる。やがて駅舎によってトレイン・シェッドを覆い隠す必要もなくなり、シェッドが露出したデザインが現れてくるが、後にはトレイン・シェッドそのものが不要とされるに至った[40]。

一方アメリカでは、工業の市内への侵入に抵抗する意識はヨーロッパほどではなく、都市間の鉄道の車両が市内の併用軌道に乗り入れることは珍しいことではなかった。アメリカでトレイン・シェッドの発達が遅れ、またヨーロッパより先に廃れたのにはこのような理由もある[41][21]。

対して、1750年頃(「百科全書」の刊行は、1751年から1772年まで)、フランス百科全書派及びブルジョアは、機械を重視した。

一般の人が技術を持たねばならない

ディドロ, ダランベール=編, 桑原 武夫=訳編 : 百科全書―序論および代表項目 (1971, 岩波文庫) p.398.

多田 道太郎による解説「『百科全書』について」より。

 なぜ百科全書派は技術を重視したのか。理由はかんたんである。それがブルジョアジーの利益になるからである。総じていえば「所有が市民をつくる」というブルジョア的立場が『百科全書』のほとんどを貫いており、したがってブルジョアの武器、道具としての技術が、新しく重視されることになったのである。

(1850年代までヨーロッパでは、都市には、機械に対して 2層が存在した。一般市民とブルジョアである。)

関連:

問題を解く当事者にとって、解は不連続である

地下鉄の路線図を見ていて気づいた。

路線を表わす美しい曲線は、本質ではない。

本質的な解・現実(それを、理論を好む者には解と、実験を好む者には現実と表現しよう)は、曲線が通過する不連続点にある。

問題を解く当事者にとって、解(=〈解に至る過程という解〉)は不連続である。乗り心地は悪いが、刺激的でもあり、多くのエネルギーが関わる。

それが美しい曲線でつながれるのは後付けだ。ヘーゲルと朝比奈さん(大) 曰く、

ミネルヴァの梟

その答は、ヘーゲルの有名な比喩の中に見出されるであろう。すなわち、「ミネルヴァの梟は、黄昏の到来とともにのみ、その翼を拡げる」。これらの神秘的な言葉の前には、次のような説明が置かれている。

世界がいかにあるべきかに関して教えを授けることについて、もう一言。いずれの場合であれ哲学は常にそれを授けるには余りにも遅れて登場する。

谷川 流 : 涼宮ハルヒの陰謀 (角川文庫, 2007) p.392.

わたしたち、未来からはそれは必然でした。でも、あなたやデータをもらえた人にとっては偶然なんです。

ヘーゲルと朝比奈さん(大)は、偉大だ。