1995年年始までの平時

1995年年始までの平時春秋. 日本経済新聞, 2025/ 1/18, 1面.

不思議な「空白」が、日本の現代史に横たわっている。戦後の1948年6月に起きた福井地震を最後に、震度6を感じる揺れは72年まで発生せず、80年代にかけても総じて穏やかな歳月が続いたのだ。高度経済成長は、そんな奇跡的な平穏のたまものだったといえる。

▼科学技術の力で被害は食い止められるという「神話」が、昭和後期には独り歩きした――。政治学者の御厨貴さんはこう語っている(「中央公論」2020年3月号)。その油断や楽観に痛烈な一撃を加えたのが、30年前に起きた阪神大震災だった。「阪神・淡路まで、危機から縁遠い『平時』の状況が続いていたのです」

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