メディア=技術=身体の拡張=感覚の拡張

メディア=技術=身体の拡張=感覚の拡張。この関係は、私に、横軸を与える。

マーシャル・マクルーハン: Understanding Media: the Extensions of Man (1964):

 われわれの文化は統制の手段としてあらゆるものを分割し区分することに長らく慣らされている。だから操作上および実用上の事実として『メディアはメッセージである』などと言われるのは、ときにショックとなる。このことは、ただ、こう言っているにすぎない。いかなるメディア(すなわち、われわれ自身の拡張したもののこと)の場合でも、それが個人および社会に及ぼす結果というものは、われわれ自身の個々の拡張(つまり新しい技術のこと)によってわれわれの世界に導入される新しい尺度に起因する、ということだ。

小林 啓倫 : 今こそ読みたいマクルーハン 電子書籍版 (株式会社マイナビ, 2013) 位置No.773/2576.

さて、「メディア(テクノロジー)は人間の身体を拡張し、感覚も拡張する」というのがマクルーハンの基本的なメディア観でした。

小林 啓倫 : 今こそ読みたいマクルーハン 電子書籍版 (株式会社マイナビ, 2013) 位置No.752/2576.

マクルーハンの頭の中では、「メディア=テクノロジー=身体の拡張=感覚の拡張」という等式が成り立っているわけですね。

私は、知識のコンテンツよりも、知識のコンテナ(:メディア)に興味がある人間だ。

 関連:
 自分が本当に好きなことが何かと考えたとき、それが情報保管のアレンジなのかも知れないと思う

 私が興味があるのは、知識のコンテンツではなくて、知識のコンテナであり、メタ知識であることを。 2013年6月1日

私にとって、比較的形而上的に捉えているメディアと、比較的形而下的に捉えている技術を同じものだとみる見方を得たことは、大きな前進である。

史観

ものづくり – Wikipedia [2014年2月7日 (金) 00:00‎ の版]

ものづくりとは日本の製造業と、その精神性や歴史を表す言葉である。1990年代後半から企業やマスメディアの間でさかんに使われるようになった。現在の日本の製造業の繁栄は、日本の伝統文化、固有文化に源を発するという史観である。

設計とは、媒体と反媒体の配置を決める行為である

設計とは、媒体と反媒体の配置を決める行為である。

 ・肉の設計: 肉、即ち、荷重を受け持つ構造は、応力、より正しくは、運動量の媒体である。

 ・通路の設計・隙間の設計: 通路・隙間を埋める流体は、媒体である。通路・隙間の枠は、反媒体である。

 ・筐体の設計: 筐体は、外乱・反〈目的〉な現象に対して反媒体であり、意志・合〈目的〉な現象に対して媒体である。

設計が扱う対象が媒体と反媒体を配置だ、という視点をもてば、設計行為が扱える領域を広く考えることができる。

技術が無臭になっていく

技術が無臭になっていく。

最近の阪急電鉄 神戸線・宝塚線では、節電のためか、最新の9000系車両が活躍をしている。

そのなかで、神戸線において、8000系車両に乗った。駅を出発する時に、制御に用いられている GTO-VVVFインバータ 由来の磁励音(磁歪音)が響きわたる。

対して、9000系車両は静かだ。今度登場する1000系車両は、さらに静かなのだろう。

電気機器が発する音は不要である。それが無くなっていく。少なくとも、一般人がそれを聞くことはなくなっていく。技術が無臭になっていく。

技術が無臭化について、より一般的な例を示そう:

原動機が発生できるトルクと回転数は、原動機の種類・型式によって異なる。たとえば、電動機は、一般に、小さすぎるトルクと大きすぎる回転数をもつ。

また、回転機器が必要とするトルクと回転数も、機器の種類・型式によって異なる。

原動機と回転機器の両者共に最適な条件での組み合わせできない場合には、さまざまな工夫がなされてきた。工夫は、機械全体の効率を高める。しかし、そもそも工夫が必要だということは最適ではなく、したがって、高められた効率といっても、それは最適な効率から劣っている。即ち、臭いだ。

今日、電動機とインバータを用いることによって、両者共に最適に近い条件での組み合わせが比較的容易にできるようになった。技術が無臭になっていく。

オイルショック40年

戦後○○年というのは《戦争の記憶》の忘却度合いを表わす数字であると同時に、中小企業の年齢であり、その創業者が現役である残存具合を表わす数字であった。有名な企業では、(中小企業ではないが)ソニーが1946年に操業している。

さて、今年は、オイルショック40年にあたる。オイルショック前の高度経済成長期に創業した企業は、創業 40+α年を迎えている。

創業時に25歳だった、経営者あるいは若手工員は、現在、65+α歳。そろそろ引退を考える時期である。熟練の術・技を磨き蓄えてきた先人たちが、引退するのである。

技術の発展は閾値を超えると、急速に進み出す

W・ブライアン・アーサー=著, 有賀 裕二=監修, 日暮 雅通=訳 : テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論 (みすず書房, 2011) p.220.

たとえ百万分の一の確率であっても、構成要素として役に立つ機能があれば、与えられた構成要素一式でテクノロジーが確立し誕生する確率は、やはり式 (2N – N – 1)/1,000,000 か、 2N-20 の近似値で求められる。

新しいテクノロジーがつぎつぎと新テクノロジーを生み出すとすれば、集まった要素が大まかな閾値を超えるや、組み合わせの可能性の数が急速に増大を始めるということだ。

註:
構成要素の数N。このとき構成要素の組み合わせの総数は 2N – N -1 (構成要素単独、及びいずれの構成要素も組み合わせない場合を除いた総数)。

技術史の記憶

W・ブライアン・アーサー=著, 有賀 裕二=監修, 日暮 雅通=訳 : テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論 (みすず書房, 2011) pp.233-234.

足がかりとなるテクノロジーに中間的難度のニーズを実行させないと、複雑な要求が実行できるようにはならないのだ。

 実際の社会で考えてみると、無線、ひいては無線通信がなければレーダーは開発されなかったかもしれないことがわかる。…

 ごく当然の成り行きとして、進化は歴史に依存する関係にあることもわかった。

設計解たる形が持つべき性質

品物の設計において採用する、品物の形状は、以下の性質を満たしていなければならない。

● 機能性 ―― その形状が品物に求められている機能を果たすこと。

● 性能性 ―― 品物に求められている機能を果たすために、十分な強度((応力集中の軽減など))・重量(の軽さ/重さ)・抵抗(の小ささ/大きさ) などをもつこと。

● 形式知性 ―― その形状を正確に伝達できること。

● 成形性 ―― その形状を低コストに作れること。

● 組立・分解作業性 ―― 挿入部の案内テーパ・面取り、他の部品に遮蔽されない掴み部・治具の取り付け部をもつこと、など。

● 安全性 ―― 鋭利な起伏・運動部分が露出していないこと、など。