肥料とエネルギーは、再生可能資源から化石資源へ、化石資源から容易獲得物質へ、という歴史を歩み、或いは歩みつつある。
エネルギーにおいて、容易獲得資源とは水(エネルギー媒体としては水素)である。
これらは、生産力に関する新たな革新である。それを実現する、生産力に関する新たな技術は、唯物史観によれば、技術決定論の文脈に語られる技術のなかで最も影響力が大きい。
1.水素エネルギーとハーバー・ボッシュ法
水素エネルギーの実用化は、大気中の窒素から肥料を作るハーバー・ボッシュ法の実用化(1912年)に似ている。
#水素 エネルギーへの転換は、大気中の窒素から肥料を作るハーバー・ボッシュ法の実用化(1912年)に似ている。木材(落ち葉・糞尿からの肥料作成)→石炭・石油等の化石燃料(チリ硝石を原料にした化学肥料)→水素(窒素ガス原料の化学肥料)。この転換によって人類は滅亡を免れてきた。 *o
— TAKAGI-1 高木 一 (@takagi1) 2015, 6月 28
人類は、木材・木炭などの再生可能エネルギーから、石炭・石油などの化石燃料に転換することで、滅亡を免れた。
例えば、昔の製鉄には木炭が使われていたが、製鉄のための森林伐採による森林の減少が問題化した。行きすぎた森林伐採による鉄の生産量の急激な減少は、人類を窮地に立たせたであろう。人類を食わせているのは、鉄製の機械や道具が重要な役割を果たす人類社会であり、鉄の生産量の急激な減少は、それを維持できなくするからである。
ヒトが人として生きるためには、外部から食糧以外のエネルギーの供給が必要である(人類はその誕生の瞬間からして、その存在を外部エネルギー源に依存している)。現在の、人類人口を支えているのは、化石燃料や原子力である。さらに言えば、大人口が生存する前提である政治の安定も、高エネルギー消費によって実現されてきた。
地球上に溢れた資源から肥料を作り出した、ハーバー・ボッシュ法の実用化にあたる、エネルギー界での出来事は、水素エネルギーの実用化であろう。
もちろん、水素エネルギーは、電気と同じ二次エネルギーである。水素を作るためには、他のエネルギー源(一次エネルギー)が必要である。しかし、いままで使えなかった一次エネルギーを水素の形態で使えるようになることの意味は大きい。鉱脈が見つかっても、開発して鉱山にしてこそ、はじめて利益をもって鉱石が手に入る。水素エネルギーの実用化は、鉱脈(:いままで使えなかった一次エネルギー)だけがある状態を、それを利用できる鉱山がある状態にする。
2.技術決定論と唯物史観
ハーバー・ボッシュ法の実用化が人口の急増を起こしたように、水素エネルギーの実用化は、人類に繁栄と変化をもたらすだろう。
水素エネルギーの実用化は、生産力に直結する。生産とは、すなわちエネルギーの消費であるからだ。生産力に関する新たな状況は、唯物史観によれば、経済のみならず、文化などを含む社会全体の改革を引き起こす。生産力に関する新たな技術は、技術決定論の文脈に語られる技術のなかでも最も影響力が大きいと考えられる。
下部構造 – Wikipedia [2015年2月1日 (日) 16:26 の版]
唯物史観では、歴史を動かす基本的な動力は生産力と生産諸関係との矛盾にあるものと考えられた。すなわち、ある時代の生産力は、その時代の生産諸関係を規定し、何らかの要因で生産力が向上し、生産諸関係との間に矛盾が生じると、社会革命の時期が始まり、経済的基礎の変化と共に巨大な上部構造全体が徐々にあるいは急激に変革されると考えられたのである。
関連:
鉱山化
http://takagi1.net/blogja/archives/344