ファティック

猪瀬 直樹 : 言葉の力 -「作家の視点」で国をつくる (中公新書ラクレ, 2011) pp.79-80.

 無駄話のように見えるこうした言葉の伝え合いは「ファティック(phatic)」と呼ばれる概念で、日本語に適切な訳語はない。あえて「交話」とでも訳すほかはない。

 「ファティック」とは何か? どうでもいいような会話をつづけながら、人と人をつなぎ合わせる行為のことである。言語技術が家屋だとしたら、ファティックは土台のような位置になる。土台があれば、その延長のふるまいとして質問ができる。

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百年に一度、決定的な嘘をつくために

中西 輝政 : 情報を読む技術 Sunmark Books EPUB版 (サンマーク出版, 2012) p.142/242.

 「百年に一度、決定的な嘘をつくために、九十九年間は本当のことを言い続けよ」というのが、イギリスの国家戦略の伝統といえるでしょう。…
 これが、「欧米人の『信用第一』というのは、いざというとき決定的な嘘をつくため」という意味です。

交流行事がなくなるとは

私の出身は、大阪府池田市である。

平成の大合併の頃まで、全国池田サミットという行事が行われていた。

日本全国に存在する池田町および池田市と名のつく地方自治体が持ち回りで交流行事を主催していたのだ。もう少し正確に書くと、もともと池田町の集まりであったものに、途中から大阪府池田市が一員に加えていただいたのである。

池田市では、毎年、関連する物産展が開かれていた。

さて、最近、ある本のなかで池田という地名をみた。長野県池田町と北海道池田町である。

しかし、なんだか昔と感覚が違う。昔は、池田町の地名を見ると、行ったことはないもののそこに住んでいる人と生活の存在を感じたのだが、今はなんだか、地名としてしか感じられない。そこに住んでいる人の存在を感じられない。

交流行事がなくなるとはこういうものだな、n数=1ながら感じる。

ハレの伝搬・お裾分け

2014年 3月20日、バスから見える小学校に「卒業式」の立看板があり、校庭に大きな 日の丸が翻っていました。そして、出張先の駅では、制服に赤い花を刺した男子中学生が何人かいました。

ハレの場はS/N比が高いが、ハレはその場に留まるのみではなく、手段さえあれば、ハレは伝搬する。幸福は共に祝う。ハレのお裾分けの、実現された手段は、大事である。

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ソチ五輪開会式

バレリーナのおねえさんがきれい。

「偉大なる成果と勝利の国なのです。」

「皆様はすばらしい競技や演技によって、私たちにインスピレーションを与えて下さるでしょう。」

「勝利を気高く祝い、敗北を気高く受入れる。」

「競争相手に敬意を払うことで、さらに素晴らしい勝利を目指すことができます。」

スラブ

ソチ五輪は、ソビエト・ロシア通じて初の冬季五輪であり、またモスクワ五輪から34年がたっている。開会式では、ロシア、すなわちスラブが前面に描かれた。

開国前夜以来、我が国の外交において、「アングロサクソンとスラブ」は重要なテーマであった。生産力のアメリカ(:アングロサクソン。同胞の英国の情報力も得た)、縦進性(:広大で過酷な)のロシア(:スラブ)。ヨーロッパの陳腐化に伴い、ヨーロッパから距離をもった国(米・露・独・日)が栄えた。その2極がアングロサクソンとスラブである。

フライトアテンダント

大阪空港(伊丹空港)から羽田空港へ、飛行機に乗った時に考えたこと:

飛行機のフライトアテンダント達は、飛行機内部に覆域に収める。

すなわち、航空機会社によって、

 - 航空機会社という組織によって醸成された乗務員共通の正義(内的正義)・組織によって獲得された権利とそれに伴う義務(外的正義)
 - 収集され・徹底的な掘り起こされ、整理・蓄積された知識

に基づく、

精神的・知識的な学習と、身体活動を伴う訓練、実務による経験によって、

 - インがドライヴされ
 〔気がつくべきところに気がつき(選択的注意集中)、深い洞察ができる〕

且つ

 - アウトがドライヴされた
 〔他者ではなく自分が動かねばならなく(行動の義務とそれを果たすために他者に妨げられない権利に伴う、強力且つ強制的な動機付け)、どう行動することが適切かを知る〕

主体群によって形成される、確実に機能し、確実に機能することを乗客に予想させる手厚い覆域である。

この覆域が、(特に初心者には)危険な、航空機という交通手段の、民生利用を実現するシステムの、ひとつの構成要素である。

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