押さえておきたい文章「100年前の技術から現代への教訓を学ぶ」

新技術の普及について。

100年前の技術から現代への教訓を学ぶ(15.365 Disruptive Technology) – My Life After MIT Sloan

1) 技術力だけでは勝てない。業界や消費者の動き方を変えないのは新技術普及の鍵

このように、消費者やサプライヤーなど、バリューチェーンの自分以外のプレーヤーの動き方を変えない工夫を凝らす、というのは技術を普及させる上で重要なポイントだ。

新技術によって、バリューチェーンの他のプレーヤーの負荷が出来るだけ少ないことは、技術普及に非常に大切な要素なのだ。

2)既存技術は新技術が出てきたとき、大幅に性能アップする

新規プレーヤーは常に、この旧技術のあがきを覚悟しておく必要がある、と言う話。

3) 技術以外の要素が大切。最終的には技術でなく、システム・アーキテクチャ管理力で勝つ。

人々はそういう技術力より、「GEにお願いすれば全て整う」という理由でGEを選んだのだ。要素技術ではなく、アーキテクチャを支配し、システム全体を提供する力が重要、というのは現代のどの技術にも言える。

生産速度×品質×安全性×ロバスト性×信頼性保証

Business Media 誠:「私も、被ばくした」――蓮池透が語る、原発労働の実態(前編) (1/4)

街中で電柱の作業をしている人を見かけることがあるが、そこでも東電の人間が直接手をくだすことはない。電柱工事についても「管理員」という立場で、作業がちゃんとできているのかをチェックしているだけだ。

うん、そうだね。そして、それで正しい (少なくとも、1次近似としては)。

仕事の評価指標を、

  生産速度×品質×安全性×ロバスト性×信頼性保証

だと考えると、それを理解しやすい。

・生産速度。それ故、共に仕事をする作業者の邪魔にならない振る舞いを身につけていなければ、作業をしてはならない。

・品質。技術は高い技能を不要にするが、それでも、作業初心者の技能では不足である。

・安全性。安全性は倫理的な見方以外にも、仕事の再現性・進捗の確実性などに関わる。作業に関する経験や技能に乏しい者が作業をすると危険である。

・ロバスト性(堅牢性)。想定外の事態が生じても仕事を完遂できること。それ故、仕事をする者がもつ性質は、均一であるよりもよりも多様であるほうが良い。作業者とは違う働き方・考え方・役割・知識をもつ人が要る。

・信頼性保証。フタを閉めてしまった後の信頼性を、年月をかけた実証以外の方法で保障すること。管理という仕事が重要であり、管理を高品質に行うために、管理者は他の仕事(作業など)に忙殺されてはならない。

科学と技術、偶然と必然

谷川 流 : 涼宮ハルヒの驚愕 (後) (角川スニーカー文庫, 2011) p.50.

 ――この世に偶然などありません。すべては必然です。認知することができなかった必然を、人は偶然と呼ぶのですよ……。

科学は、人類の認識を広げ、人類がそれなしでは偶然だと捉えてきた事柄を必然だと捉えられる状態にする。

技術は、要素において、人類がそれなしでは偶然にしか実現できなかった事柄を必然に実現できる状態にし、システム(信頼度の掛け算、トレードオフ)において、不可能を可能にする。