ミクロ現象のマクロにおける表出に関するシミュレーターの開発手順

ミクロ現象の小スケールにおけるシミュレーターの開発する。

小スケールにおけるシミュレーションの結果を整理して、ミクロ現象のマクロにおける表出を表す、大スケールシミュレーターにおけるパラメタリゼーションを考案する

上記パラメタリゼーションを実装した大スケールシミュレーターを開発する。

科学と技術、偶然と必然

谷川 流 : 涼宮ハルヒの驚愕 (後) (角川スニーカー文庫, 2011) p.50.

 ――この世に偶然などありません。すべては必然です。認知することができなかった必然を、人は偶然と呼ぶのですよ……。

科学は、人類の認識を広げ、人類がそれなしでは偶然だと捉えてきた事柄を必然だと捉えられる状態にする。

技術は、要素において、人類がそれなしでは偶然にしか実現できなかった事柄を必然に実現できる状態にし、システム(信頼度の掛け算、トレードオフ)において、不可能を可能にする。

科学技術の段階を考える上での4つの対立軸

科学技術を段階を考える上での4つの対立軸を考えた。

● 知は、技術により生産されたか、それとも技能により生産されたか。

 関連:
 科学は技術化した
 技能としての科学

● 知は「なぜか」を表現するか、それとも「ということ」を表現するか。

 関連:
 2種類の発見

 ヘンリー・ペトロスキー=著, 中島 秀人・綾野 博之=訳 : 橋はなぜ落ちたのか―設計の失敗学 (朝日選書, 2001) p.110.

 数学者や科学者達が必ずしも思い出したがらない事実だが、技術の相当数はまず成功した後にその理論的理解が生まれたのである。もちろん古典的な例は蒸気機関であり、熱力学の工学が成立するはるか以前にそれは発明され、高度の信頼性にまで発展した。実際、動く蒸気機関という人工物自体が、その動作についての理論を呼び起こしたのである。

● 現象の観測は可能か、それとも不可能か。

● 現象の原因の制御は可能か、それとも不可能か。

 関連:
 駆使できるということ

技能としての科学

橋本 毅彦 : 描かれた技術 科学のかたち―サイエンス・イコノロジーの世界 (東京大学出版会, 2008) p.247.

 ファインマン図は、ファインマンから彼の図について、そしてシュヴィンガーから数学的計算法について直接の教授を受けたフリーマン・ダイソンによって利用法が明確化されたが、それでも若い科学者が実際に特定の問題の解決に応用するためにはダイソンやダイソンから直接訓練を受けた物理学者に利用法を教えてもらう必要があった。カイザー[:アメリカの物理学史家 デヴィッド・カイザー]はこのような理論物理学における概念図の利用法の伝達が、論文などの出版物を通してだけでは成り立たず、実際にマンツーマンで教え込まれることによってなされたことを指摘するのである。

科学は技術化した

私の中で科学は技術化した。

技術の反対語は

I氏によれば、技術とは、(特別な能力をもっていない人でも、特別な訓練を受けていない人でも)誰にでも同じ物を作れるようにすることである。

つまり、人による物事の実現に関して、個人の能力を高める教育とは全く逆のアプローチなのである。

茂木 健一郎 : 思考の補助線 (ちくま新書, 2008) p.207.

研究を行う者が天才であろうが、秀才であろうが、そのような人物としての特性にはかかわらずに、ある方法論に従ってさえいれば、収集するデータの有効性や理論の普遍性が担保される。天才がやらなければ成功しないというような実験には科学としての意味はない。どんなに平凡な人間でも、性格の悪い人でも、善意に満ちた人も、あるプロコトルに従って操作さえすれば、同じ結果が出る。これが、科学という知的営為の偉大なる大前提である。

何らかの手段を使って観察し、無益・無意味と思われることでも記載すること

● 無益・無意味と思われることでも記載すること。

● 感覚器そのままではなく、何らかの手段を使って観察すること。

これらは、次の一連の知的作業の始まり(1)になる。

(1) 感覚器・工業的手段、或いはこれらの組み合わせによって観察して、記載する。

(2) 記載を分類する。

(3) 一般化された記載事象が現れる条件を見いだすために実験する。

(4) 条件と記載を合理的に繋げられる理論を推定し検証する。

条件と記載の関係が分かれば、記載から条件を知ることができる*。記載に含まれる「暗号」を解読して、ヒトが知ることができるのだ。

十分に確からしい理論が得られれば、多くの記載と条件の関係をヒト語で表現でき、それをヒトは理解できる。また、宇宙の道理をヒト語で表現し、ヒトが知ることができる状態への道が一歩進む。

* 論理的にはそうは言い切れない。しかし、記載が多くの情報をもっている場合には、条件から記載を高い確度で推測できるだろう。

初出:
2011/2/27 2:18am
2011/2/27 7:29pm
2011/2/27 7:30pm
2011/2/27 7:52pm

これらは、橋本 毅彦 : 描かれた技術 科学のかたち―サイエンス・イコノロジーの世界 (東京大学出版会, 2008) p.142~「鉄の結晶」、p.150~「冬の華」などを読みながら書いた。