ゲーテの雲の詩

ゲーテの雲の詩橋本 毅彦 : 描かれた技術 科学のかたち―サイエンス・イコノロジーの世界 (東京大学出版会, 2008) pp.163-164.

ゲーテは、ハワード [:ルーク・ハワード Luke Howard (1772-1864)]の雲の分類論とその変容の理論に注目した。一八二〇年に「ハワードによる雲のかたち」という論文を著し、そこでハワードの雲の分類論を解説し、さらに彼を讃える詩を寄せた。…

層雲

鏡のごとき水面より / 靄[もや]の絨毯湧き上がり
続いて月も上りきて / 霊が霊になるごとく
自然よ、そのときわれらみな / 喜び急ぐ子供なり
靄は山へと立ち登り / 筋広々と重なりて
中位の雲は滞り / 雨にも空気にもなれり

積雲

そしてさらなる高空へ / 空気豊かに集められ
雲高々と積み上がり / 力強くもそびえ立ち
かくて恐れつ体験す / 上轟きて下震う

巻雲

さらに気高き一撃の / 天より軽く放たれる
群れ小片に解けほどけ / 子羊ごとく集まれる
下より流れ生まれきて / 父の手と膝ぬらしゆく

雨雲

高々積み上げられしもの / 大地の力に引かれおり
激しき雷雨に姿変え / 大群となり散りゆくは
能動受動の地の定め! / まなざし高く登りゆき
言葉降りて記される / 心は空に漂えり

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