人を動かす手段

人を動かす手段は、メディアだけではない。道具によってもできる。

水戸岡 鋭治 : 水戸岡鋭治の「正しい」鉄道デザイン―私はなぜ九州新幹線に金箔を貼ったのか? (交通新聞社, 2009) p.86.

身の回りのスペースが広がること、サービスが違うこと、椅子の機能が少し違うこと、そのことによって人の身ぶりはかなり違ってきます。グリーン車にいると人は優雅な身ぶりになります。

力を持った人を使ってどうしようか

「人にどう力を授けようか」

の次は、

「力を持った人を使ってどうしようか」

である。

「どのような状態になろうか」、そして「その状態になってどうするのか」(本来は、「どうするのか、そのためにどのような状態になるのか」であるべきだが)ということである。

人は、メディアや道具によって動かせる

トンカツ屋でのゴマ擦り

客にゴマをすらせて、その小さなすり鉢をソース皿にするというトンカツの提供形態は、全国区なのだそうだ。

私が確認したのは、
 ・かつくら
 ・花むら(花邑)
 ・かつ一番
の 3チェーン。

トンカツ屋チェーン・新宿さぼてんは、

今はどのとんかつ店でも提供されている胡麻をすって食べる方法。これは、さぼてんが始めた食べ方提案なのです。

だとしている。

さて、客に、ゴマ擦らせる面倒をさせる形態なのだけれど、客にリスクがほとんどない。味が落ちることも、客が火傷することも、客の衣服が汚れることもない。

店は安心して、客に、面倒をさせられるのだ。

面倒の効用は、以下をご参照のこと。

水戸岡 鋭治 : 水戸岡鋭治の「正しい」鉄道デザイン―私はなぜ九州新幹線に金箔を貼ったのか? (交通新聞社, 2009) p.83.

 ああ、また出てきたぞ、面倒を嫌い、すべてを簡単な方向にする現代の典型的な考えが出てきたぞ!

 確かに、荷物棚の蓋の開け閉めは面倒くさいかもしれません。また蓋を開ける時に不意に中の荷物が落ちてくることがあるので、注意をしなければならない。
 しかし、蓋の開け閉めくらい、手間ひまをかけてもいいと思う乗客もいるのではないかと私は思ったわけです。ちょっとしたリスクで落ち着いた空間を作り上げることができるなら、そのリスクを引き受けてもいいと考える人もいるのではないでしょうか。
 また、中から落ちて来る可能性があるので注意しなければならないということは、その下に座っている他の乗客のことも考えなければいけないということです。時には声をかける必要もあるでしょう。その時に乗客同士のコミュニケーションが生まれる可能性があるのではないでしょうか。

不足すると分かっていると余計めに

節電要請に伴い、節電設定ではありながらも普段使わない冷房機器まで稼働させ、その上、窓を開けているという状況。

関連:
江畑 謙介 : 軍事とロジスティクス (日経BP社, 2008) p.22.

戦闘部隊の方も、補給を要請したところで本当に到着するか分からないし、大体、補給要請書(連絡)が無事に届いて、的確に処理されたかどうか不安だから、同じ補給物資を何度も要求しがちである。そのため、同じ物資が重複して前線部隊に届けられるという事態も生じる。前線部隊はだからといって送り返すなどということはしないから、補給物資には膨大な無駄が生じる。同じ部隊に二度、三度と同じものを届けるためにトラックや輸送機が使われると、より切迫した状況で補給を必要としている他の部隊に補給品を輸送する手段が不足するという結果になる。

プライベート・ライアン

映画「プライベート・ライアン」(1998)を見て、考えたこと。

● 補給・思考(勝つための工夫、物資の効率的な運用)・作業(必要な時に引き金を引くこと) を継続すること。

● 打撃をした時点から、自分の死亡率が跳ね上がる。

・敵に居所を知られる → 居所に攻撃を集中されて、死ぬ。
     ↓
・移動をしなければならない。 → 移動中に攻撃されて、死ぬ。

逆の見方をすると、

・敵の居所を知ること。
・敵に移動を強いること。

● 歩兵が戦闘能力を有した状態で残ることが、最終的な勝利条件。