芥川龍之介 『路上』 [Gemini]
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芥川龍之介 『路上』
「ふん Marius the Epicur…
「何にする? 珈琲か。紅茶か。」…
「僕はピエルじゃない。と云って勿論アンドレ…
「最後にどこかの癲狂院で、絶命する事になる…
「僕は行こうと思っている。君は?」…
「野村はまだ来ていないか。」…
「先日は私妙な事を御願いして――御迷惑じゃ…
「やあ、今夜は民雄さんも来ていたのか。」…
「は。」…
「ううん。僕は莫迦じゃないよ。」…
「中位。」…
「いや、どうもこの頃は咽喉を痛めているもん…
「何だい、そのゲスタ・ロマノルムってやつは…
「この四月には『城』も特別号を出しますから…
「今日は?――御帰りですか。」…
「先達は、あれからすぐに御帰りになって。」…
「静だな。玄関で何度御免と言っても、女中一…
「実は例の癲狂院行きの一件なんだが――どう…
「そりゃ行っても好いが。」…
「今初子さんの所へ例の件を電話でそう云って…
「美人か――ありゃ僕の――まあ好いや。」…
「これも花房さんが売ったんですね。」…
「ちょいと上って、御茶でも飲んで行きません…
「電車は? 正門前から御乗りになって。」…
「だって、私、気の違っている人なんぞの所へ…
「あれば勿論指摘したろう。が、なかったのだ…
「これは残酷だ。監獄の役人と癲狂院の医者と…
「どうしたのです。気味が悪いんですか。」…
「どうです。中へはいって見ますか。」…
「失恋したくらいで、気が違うものかな。」…
「どうでした。初子さん。モデルになるような…
「どうだ。」…
「どうした。まだ細君は帰って来ないかね。」…
「てへん+丑」…
「おい。」…
「と云ったって、何も大したいきさつがあった…
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