芥川龍之介 『路上』 「最後にどこかの癲狂院で、絶命する事になる…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『路上』

現代語化

「最後にどこかの精神病院で、亡くなるそうだ。その病院の生活を描写したいんだけど、残念ながら初子さんはまだそういうところへ行ったことがない。だから今度の機会に誰かに紹介してもらって、どこでもいいから精神病院を見学したいと言ってるんだ。――」
「それから?」
「そこで君から一つ、新田さんに紹介状を書いてもらいたいんだが――新田さんって言うんだよね。あの唯物論者の医学士は?」
「そうだ――じゃあともかく手紙を書いて、向こうの都合を聞いてみよう。たぶん問題はないと思うけど」
「そうか。そうしてもらえれば、僕はとても助かるんだ。初子さんももちろん大喜びだろう」
「この頃はまるであの『女の一生』に夢中になってるからね。一緒にいる親類の娘とかつかまえても、ずっとその話ばかりしてるらしい」

原文 (会話文抽出)

「最後にどこかの癲狂院で、絶命する事になるんだそうだ。ついてはその癲狂院の生活を描写したいんだが、生憎初子さんはまだそう云う所へ行って見た事がない。だからこの際誰かの紹介を貰って、どこでも好いから癲狂院を見物したいと云っているんだ。――」
「それから?」
「そこで君から一つ、新田さんへ紹介してやって貰いたいんだが――新田さんと云うんだろう。あの物質主義者の医学士は?」
「そうだ――じゃともかくも手紙をやって、向うの都合を問い合せて見よう。多分差支えはなかろうと思うんだが。」
「そうか。そうして貰えれば、僕の方は非常に難有いんだ。初子さんも勿論大喜びだろう。」
「この頃はまるでその『女の一生』で夢中になっているんだから。一しょにいる親類の娘なんぞをつかまえても、始終その話ばかりしているらしい。」


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