道は、未知の世界と自分とを結びつける

余録:「オーちゃん、これ、なあに?… – 毎日新聞 (2019/ 5/ 2, 朝刊 1面) 抜粋引用

新天皇陛下が小学生のころ、散歩していた赤坂御用地の片隅に杭(くい)があるのを見つけ、ご養育係のオーちゃんこと浜尾実(はまお・みのる)東宮侍従にたずねた。杭には「奥州街道」とあった▲

「一本の杭に記されし道の名に我学問の道ははじまる」は皇太子時代に詠まれたお歌である。杭は近年に立てられたものだったが、御用地内を鎌倉時代の街道が通っていたことを知り、「この時は本当に興奮した」と回想されている▲

英国留学でテムズ川の水運史研究に取り組んだのも、この感動に導かれてのことだった。「道はいわば未知の世界と自分とを結びつける貴重な役割」を果たしたという。

知性の目的は、破滅の回避

弱者を抹殺する。不謹慎な質問ですが、疑問に思ったのでお答え頂けれ… – Yahoo!知恵袋

アマゾンのジャングルに一人で放置されて生き延びられる現代人はいませんね
ということは、「社会」というものが無い生の自然状態に置かれるなら、人間は全員「弱者」だということです

その「弱者」たちが集まって、出来るだけ多くの「弱者」を生かすようにしたのが人間の生存戦略なんです

だから社会科学では、「闘争」も「協働」も人間社会の構成要素だが、どちらがより「人間社会」の本質かといえば「協働」である、と答えるんです
「闘争」がどれほど活発化しようが、最後は「協働」しないと人間は生き延びられないからです

上記を読んで思索したこと:

知性の目的は、破滅の回避です。

表面的なコスト削減は 知性の発露のひとつですが、破滅への道を断つことが最も尊い知性の発露なのです。

例えば、戦いの敗北では、軍は壊滅しません。壊滅するかしないかは、如何に負けるかにかかっています:

クラウゼヴィッツ=著 篠田英雄=訳: 戦争論 (中) (岩波書店, 1968) pp.21-22.

 勝者はこの時機を利用して、物理的諸力の破壊による本来の利益を獲得せねばならない。こうして得たところの利益だけが、確実に勝者の有に帰するのである。

… 会戦中の損失は、多かれ少なかれ勝者と敗者とに共通である、しかし会戦後の損失はそうではない。この損失は、通例は敗者の側だけにあり、或は少なくとも敗者の側の方が莫大である。

ダウンロード違法化拡大問題・不正指令電磁的記録に関する罪 問題

昨今の、知をまつわる状況の危うさを警戒し、2019年 4月 6日、次の2つのページを立ち上げました。

ラハフ・ハーフーシュ=著, 杉浦 茂樹, 藤原 朝子=訳 : 「オバマ」のつくり方 怪物・ソーシャルメディアが世界を変える (阪急コミュニケーションズ, 2010) pp.126-127.

バラク・オバマ (2008)

政府の行政権の乱用に人々の注意を向けさせる手段として、一般市民の活発で継続的な行動こそ重要なものはありません

著作権法改定案 ダウンロード違法化拡大問題

刑法 不正指令電磁的記録に関する罪 問題

初出:
Facebook 2019/ 4/ 9

Keeper Girls

「Keeper Girls」とは何か。

2015年に活動を開始された、大阪府池田市立 五月山動物園公式PRアイドルグループです。このグループのすごいところは、アイドルが街づくりの重要な役割を担うことを示したことでしょう。

五月山動物園は、野生ではオーストラリアにしか生息していないウォンバットという動物で有名で、ウォンバットは池田市の”ゆるキャラ”のモデルにもなっているのですが、時が経つにつれ、高齢な2頭とオス1頭しかいない状況になっていました。オーストラリアから新たな個体を導入しようにも、高額な輸送費が障壁になっていました。

この状況を打破すべく誕生したのが「Keeper Girls」です。

アイドル活動の収益・会場で集めた募金と、2016年12月を中心に 彼女たちを中心に募った「ウォンバットの受入れと五月山動物園の整備」に使途限定した”ふるさと納税”や寄付金の合計額は、およそ1800万円に達しました。このお金と市の予算で、五月山動物園は、オーストラリア側から要請があった施設改修を実施の上、3頭の若いウォンバットを導入しました。

詳しくは、Keeper Girls – Wikipedia の「略歴」をご覧ください。

なお、公式サイトは KeeperGirls. 公式HP 五月山動物園公式PRアイドルユニット 、ファンサイトは Keeper Girls応援サイト (大阪府ウォンバット市[:池田市]の五月山動物園公式PRアイドルグループ) です。

初出:
Facebook 2019/ 2/ 4

ロングテール型超参与社会

多数派と少数派がいる(と考えた方が理解しやすい)社会において、「ロングテール」という考え方は、多数派と少数派の境界を明示しないため、有益です。

日本学術会議: 報告「理学・工学分野における科学・夢ロードマップ2014(夢ロードマップ2014)」(2014/ 9/19)

2040 年頃には誰もがそれぞれの個性や長所を活かしてお互いに繋がりあい、わかりあいながら生き生きと生産的・創造的活動を実施していける「ロングテール型超参与社会」が実現していく。

愚弱な国民

「およそ愚弱な国民は、たとえ体格がいかに健全だろうが、なんの意味もない見せしめの材料かその観客にしかなれない」―― 魯迅『吶喊』自序

「いだてん」周回遅れその4:弁髪 comics and songs (抜粋)

 「藤野先生」には、人を教えることに対する藤野先生の誠実な態度が静かに、情を込めて綴られる一方で、いくつか見逃せないできごとも記されている。ときは日露戦争の最中(ちょうど四三が熊本で日本の活躍に飛び上がっていた頃だ)、魯迅は学校で日本に勝っている場面を次々と写す幻灯を見せられる。ところが、そこにたまに中国人が混ざっていることがあった。「ロシア人のためにスパイとなり、日本軍に捕まって、銃殺されるところで、周りを囲んで見ているのも一群の中国人、講義室にはもう一人僕がいた」(『藤野先生』 *2 )。この経験から彼は「およそ愚弱な国民は、たとえ体格がいかに健全だろうが、なんの意味もない見せしめの材料かその観客にしかなれない」と知り、自分たちの最初の課題は医学ではなく「精神を変革すること」であると考えたと、『吶喊』自序 *3 で記している。

「愚弱な国民」の対語が、インフォームド・シチズン でしょう。行動するインフォームド・シチズンです。

豊田 巧 : RAIL WARS! 10 ―日本國有鉄道公安隊― (創元社クリア文庫, 2015) p.83.

「そして、こちらから何かのアクションを起こして、犯人の計画を妨害する」

知識の ネットワーク型の整理が、これから発展していく

知識の整理の仕方には、2種類があります。

一つは、ピラミッド型の整理、
もう一つは、ネットワーク型の整理です

前者をツリー型、後者をリゾーム型と呼ぶこともできます。

(なお、個々の知識は、適切な土台の上に、適切な方法で成り立っているものとします。)

これからの時代は、下記の理由で、ネットワーク型の整理が、発展していくと考えられます。

その前に、ネットワーク型の整理の発展による効用を説明します:

ネットワーク型の整理の発展による効用

ピラミッド型の整理では埋もれやすい知識を、ネットワーク型の整理では位置付けることができ、それらに光があたります(すなわち、多数の人々の関心の対象になり得ます)。

また、これが、知の世界の豊穣さを明らかに見せます。

合わせて、それぞれの知識に関心がある人と人が繋がることによって、多様な人々からなる社会の連携度合いが高まります。

それでは、ネットワーク型の整理が これから発展していく理由です:

ネットワーク型の整理が発展する理由1: 技術的な理由。ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の存在

WWW は、Googleクローム、Internet Explorer や Safari などのブラウザのなかで閲覧できる、いわゆる「インターネット」のことです。正確には、インターネット上で提供されているハイパーテキストシステムです。

1991年に公開され、現在は当たり前のものにまで発展・普及しました。

WWW のリンク機能によって ネットワーク型の整理を万人が表現でき、またインターネット上にあることで その整理を万人が閲覧できるようになりました。

ネットワーク型の整理を社会で共有することが可能になったのです。

ネットワーク型の整理が発展する理由2: 経済的な理由。「限界費用ゼロ社会」の到来

限界費用ゼロ社会とは、限界費用がゼロの社会のことを指しますが、限界費用とは生産量を小さく一単位だけ増加させたとき、総費用がどれだけ増加するかを考えたときの、その増加分です。

全くのゼロになることは考えにくいですが、限界費用が低くなってきているのは感じられます。消費者から見れば、定額制サービスは限界費用ゼロです。

ピラミッド型の整理の利点のひとつは、一定程度の網羅性を保証していることにあります。したがって、状況に対して見落としが少なく、リスクを一定以下にまで低減できます。よって、低減リスクぶんのコストを、整理の元になる知識の獲得に充てることができます。

対して、ネットワーク型の整理では、網羅性の保証はありません。よって、リスクが一定以下にまで低減される保証はなく、整理の元になる知識の獲得に充てられるコストが限られます。しかし、知識獲得の限界費用が低減されていれば、そのコスト負担は許容できます。

ネットワーク型の整理を発展させる経済的状況が生じているのです。

補足1:
上記は、ピラミッド型の整理を優、ネットワーク型の整理を劣だと読めるかもしれませんが、そのような意図はありません。

ピラミッド型の整理の集積と、ネットワーク型の整理の集積の比較は、困難です。しかし、ネットワーク型の整理の発展は、ロングテールの考え方を再認識させるものになると思います。

補足2:
知識獲得の限界費用の低減を妨げる可能性として、個々の知識の提供者が、知識提供にリスクがある場合があります。

例えば、複数の主張がある中で、それぞれを主張する団体や個人が、自分の主張に反する知識の提供中止を、知識の提供者に迫る状況です。

これが実施されてしまうと、知識の提供者にとって知識提供にリスクが生じて、知識獲得の限界費用が上がり、ネットワーク型の整理が妨げられます。

そのようなことが起きないために、「理性と自由を軸にしよう。理性に従い、自らを拘束せず、そして他者の自由を認めよう」という心持ち・行動様式が、正しいものとして社会に根付いている必要があります。