複数の人々による行動の連続と相互作用が、未来をつくる

2ヵ月ほど前ですが、深夜、NHKで放送されていた、将棋を題材にした「3月のライオン」を見て、以下を思いました:

複数の人々(意思決定・行動単位)による行動の連続と相互作用が、未来をつくるのです。

これは、答えがない状態で、よりよい解を得るための手段です。得られるものが大きいぶん、必要なエネルギーが大きいのです。

補足:
複数の人々(意思決定・行動単位)の行動の連続と相互作用とは、即ち、闘争です

マルクスは、「全歴史は階級闘争の歴史」と書きましたが、少なくとも「全歴史は闘争の歴史」であることは、正しいです。

マルクス, エンゲルス=著, 大内 兵衛, 向坂 逸郎=訳 : 共産党宣言 (岩谷文庫, 2007) p.10. (エンゲルスによる「1883年ドイツ語版への序文」)

したがって(太古の土地共有が解消して以来)全歴史は階級闘争の歴史、すなわち、社会的発展のさまざまな段階における搾取される階級と搾取する階級、支配される階級と支配する階級のあいだの闘争の歴史であった。

古さを広める

新しさを振りまくことが必要です と書きましたが、古さは悪ではありません。

古さは、
 (1) 新しさの発想の元
であり、
 (2) 新しさの実現可能性を高めるもの
です。

文学作品・芝居・映画やアニメーションなどの映像作品において、古さは (1) になります。

古さに関する権利を一定期間独占する権利が著作権で、一定期間の後は誰でも自由に利用できるようになります。

古さを利用するための設備が、図書館 です。

製造物において、古さは (1)であり(2) になります。

古さに関する権利を一定期間独占する権利が特許で、一定期間の後は誰でも自由に利用できるようになります。

古さを利用するための設備が、産業技術博物館や産業遺産 です。

上記に関するネット上の活動として、文学作品・芝居・映像作品においては 青空文庫 さんの活動が知られていますが、製造物においては あまり知られていません。

多様な未来社会の実現には、ファブ施設や家庭用3Dプリンタなどによって多様な製造物が作れることが、一翼を担うと考えられます。

必ずしもネットにこだわる必要はないのかもしれませんが、多様な未来社会においてネットの役割が大きいことは想像できるので、製造物の古さに関するネット上の活動の発展を考えようと思います。このブログでも対象にします。

なお、takagi1.net では、ネット上の産業技術博物館として しくみの発達博物館 というサイトを運営しています。

「多様な未来製作所」に至る点と点

2017年11月3日(文化の日)に Twitterアカウント「知的ネット社会チャンネル」 @atene_gakudo は、「多様な未来製作所」に名称を変更しました。また、プロフィールも変更しました:

  多様な未来製作所
  https://twitter.com/atene_gakudo

  プロフィール:
  現在よりも多様な、よい未来を作るためにツイートします。テーマ: 新しさあふれるニュース、整備されていくインフラ、自作、知的なネット、知的な市民。 旧: 知的ネット社会チャンネル。中の人は、@takagi1

アカウントの @atene_gakudo は、ラファエロが描いたバチカン教皇庁の「署名の間」の壁画「アテネの学堂 (アテナイの学堂, Scuola di Atene)」から来ています。

多数の哲学者を一同に描いた「アテネの学堂」は、「知の多様性を表現した」といわれていますので、名称変更後でも意味を持ち続けます。

* * *

今回の変更では、テーマについて、以前からの「知的」に、「物・製造」・「インフラ」を加えました。そして、これらの目的を「現在よりも多様な、よい未来を作る」としました。

ここからは、これらに関する私の思想、及び思想の元になった重要文を列挙します:

● 前史

 『私の「後に続く者たちが、我々よりも苦しまない世の中のために」という人生の目的』

  ―― 2005/ 9/ 5: 新幹線の車内にて

● 知的

  『制高点の人工的創造』『技術で作る制高』

  『点と線』(=「線」の「点」に対する優位)

  ―― 堀 栄三 : 大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫, 1996)

上記事項は、次項の私の思考を生みました:

  『技術による制高面の創出』

  ―― 技術による制高面の創出

  『超民連絡は、〈社会が天才・秀才ばかりである必要はないが、天才・秀才が生き・活きる社会であるべきであり、そのために天才・秀才の思考(の一端)が共有されるべきである。これによって、天才・秀才は孤立せず、消耗されない〉という思想です。』

  ―― 超民連絡の見いだし

  『私 TAKAGI-1 は、知に関する社会の仕組みを、以下の図のように捉え、』

  ―― 社会を知的にするための考え方

● 物・製造

  『「技術が社会を変える」(=技術決定論)』

  ―― 濱野 智史 : アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか (NTT出版, 2008) p.330.

  『こうして、「先端技術で社会問題を解決する」という思想的背景をもった活動であっても、完成済みの「コンピュータ」をただ配るだけの支援では限界があることがはっきりしました。重要なのは、現場で、使用者自身が、その場やその人に合うようにテクノロジーを再編集できるための「施設(拠点)」だということがようやく分かったのです。』

  ―― 田中 浩也 : SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社, 2014〈底本 講談社現代新書(2014)〉) No.984/2694.

● インフラ

  『新幹線システムを作っている/作った多くの人々のなかにおいて、一部の人間が極めて大きな働きをしたことも確かである。… このような人々は「後に続く者たちが、我々よりも苦しまない世の中のために」的な仕事をしたと考える。私はこのような人々を目指したい』

  ―― 2005/ 9/ 5: 新幹線の車内にて

  『カール・マルクスはさらに、彼の初期的な著作の中で交通インフラの重要性を包括的に論じている。… 交通インフラの有り様が、人々の「交流」すなわち、「コミュニケーション」のあり方を規定し、その人々の交流・コミュニケーションの有り様によって、ありとあらゆる上部構造(社会、経済、文化、宗教など)が決定されていく、と論じたわけである、』

  ―― 藤井 聡 : 超インフラ論 地方が甦る「四大交流圏」構想 電子書籍版 (PHP研究所, 2015〈底本はPHP新書(2015)〉) 位置No. 256/2339.

● 現在よりも多様な、よい未来を作る

  『進化の本質は、多様性を生み出すことにあると思ってます。多様性が生まれると、みんながそれぞれ生活できるんです。今の社会も、そういう意味での多様性がどんどん生まれている。リア充ではなくてもオタクコミュニティではやっていけるとか、いろいろあるじゃないですか。』

  ―― 吉田 尚記, 石川 善樹 : どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた (KADOKAWA, 2017〈底本はKADOKAWA (2017)〉) 位置No. 1061/2147.

この文は、スティーブ・ジョブズの、スタンフォード大学卒業式(2005年)のスピーチにいう「点と点を繋ぐ」ものでした。

「現在よりも多様な、よい未来」を接着剤として、「知的」・「物・製造」・「インフラ」が、くっついたのです。

初出:
Facebook 2017/11/18

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