2018年2月末、2つの記事が相次いで公開されました。どちらも、日本のインターネットでは「炎上」「アンチ」現象が起こりやすい、と書いています:
負の気持ちでしかつながれない日本はインターネットの使い方を間違えている|「自分を仕事にする生き方」がこれからのスタンダードになる 宇野常寛×はあちゅう|cakes 2018/ 2/26
宇野 …日本のインターネットが、「叩いていい」というサインが出た人間に石を投げるというだけの暇つぶし文化になっちゃったのはやっぱり問題じゃないですかね。人間の負の部分を増幅して、卑しい人間が気晴らしできるものになりすぎてしまった。…
はあちゅう いっぽうで、応援してくれている人は意外と表に出てこない。応援している人は、まさかアンチがそんなにいると思ってないから、積極的に応援の気持ちを表明してくれない。
SNSは、誰かを袋叩きにするための場所?それとも、社会を変えていくための武器? | milieu 2018/ 2/27
ただ、「ネット発で有名になること」と「炎上」は、もう密接に絡みすぎているし、多くの人がネットにストレスをぶつける習慣を持っているから、何か失態があれば、すぐサンドバックのように叩かれてしまう。あと、そうして誰かが袋叩きにされる様子を見て、なかなか率直な声をあげられない人も沢山いる。
ちなみに、後者の記事は、「ポジティブで明るいインターネット」として海外の事例の紹介に続いていきます。
さて、日本のインターネットをポジティブにする。 そのために、日本のインターネットでは「炎上」「アンチ」現象が起こりやすいことを、ネットユーザみんなで共有すればいいのでは(傾向が分かれば、対策を打てる) と、まず考えましたが、私の思考の行きついた先は、次の2つの言葉でした:
(1) 下手なら行儀よくやれ
(2) 創造力は無限ではない、貴重である
(1)(2)は両方とも、ネットだけでなくリアルにも適用できる言葉です。社会の確かな関心(:限られた日々の時間の中で、少ない時間であっても、いくらかの思考時間をあてるテーマ)にするには、世界の半分を占めるリアルにも適用できる言葉である方が効果的です。また、リアルとネットの分断を避け、結合に導くことができます。
(1) 下手なら行儀よくやれ は、「炎上」「アンチ」な ふるまいを自制し、「ポジティブで明るい」ふるまいにつながります。
(2) 創造力は無限ではない、貴重である は、なんらかの行動をした人に対して、「炎上」「アンチ」な感情ではなく、「ポジティブで明るい」感情をもつことにつながります。
補足:
9年前の梅田 望夫 さんによる、日本のWeb残念論を思い出します。“IT戦士”岡田 有花さんによるインタビューです:
日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (3/3) – ITmedia NEWS 2009/ 6/ 1
ウェブ進化論の中では「総表現社会」という言葉を使っている。高校の50人クラスに2人や3人、ものすごく優れた人がいるよね。そういう人がWebを通じて表に出てくれば、知がいろんなところで共有できるよね、というところまでは書いている。
そういう、「総表現社会参加者層」みたいなのが、人口比で言えば500万人とか出てくると。少なくとも英語圏ではそういう層が分厚くて、そこがある種のリーダーシップを取っているわけだよね。
今の日本のネット空間では、そういう人が出てくるインセンティブがあまりないわけさ、多くの場合。…
…
…“上の人”が隠れて表に出てこない、という日本の現実に対して残念だという思いはあります。そういうところは英語圏との違いがものすごく大きく、僕の目にはそこがクローズアップされて見えてしまうんです。
梅田 望夫 さんの主張は、“上の人”に焦点を当てたものでしたが、今回の2つの記事では、普通の人に焦点が当てられています。ただし、それらの根っこは同じでしょう。