笑いの余裕

春秋. 日本経済新聞, 2026/ 1/22, 朝刊, 1面.

映画「国宝」の人気が続いている。

吉田修一氏の原作小説は映画やお笑いの世界も登場し、広く芸とは何かを考えさせる。冠番組を多数持つ人気芸人がこう語る場面がある。「唯一、王様を笑えんのが芸人の特権やで。それが王様になってどないすんねん」

▼小説は昭和30年代から現代までの日本芸能裏面史という顔を持つ。主な舞台となる関西でそんな心意気が語られた時代があったのかなあ、と思いながら読んだ。

民主主義を掲げる国の「宝」とは何か。いろいろあろうが、権力を銃弾ではなく笑いで攻撃できる余裕はそのひとつだろう。